拉致問題解決と世界恒久平和モデル

財団法人人間自然科学研究所 理事長 小松昭夫
2006年12月5日


現状と近未来

・ 東アジアはこのままの状態では持続できず、また米朝二国間による単独平和
  条約締結でも、 日本、韓国、中国、ロシアは不安定な状態におかれる。

・ 6カ国協議は核の問題ばかりで拉致問題は協議されていない。

・ 有志(在日4者プラス日本人)が日本、韓国、北朝鮮政府及び国連に働きかける。日本がきっ
 かけを作って、北朝鮮とアメリカ、韓国、日本が平和条約を結ぶ場合によってのみ、未来の
 展望が開ける。
・ 日本がアジアで不安定な状態になった場合、真っ先に不利益と緊張状態におかれるのが在日
 韓国、朝鮮人。さらに韓国・北朝鮮系の帰化日本人。そして、在日外国人、日本人。海外で居住、
 活動している日本人も不安定な状況に置かれる。

緊張した現状を、チャンスに変える
・ 戦後60年が経っても、半島情勢を反映して相互対立関係にあり、和解・共生の糸口が見えない。
 4者はいずれも植民地支配の被害者であり、立場の異なる被害者同士が話してもなかなか展望
 が開けない。

在日韓国人 在日朝鮮人
韓国系日本人 朝鮮系日本人

・ 加害の歴史について自覚があり、問題解決の当事者意識がある日本人が在日の方々は
 もちろんのこと、韓国、北朝鮮とともに、中国、ロシア、アメリカから提案を聴いて頂ける
 状況を作った上で、在日の方々と役割分担で、拉致問題を解決する為、歴史に立脚し、
 未来志向で活動を起こすことによってのみ、根本解決の入口に立てる。

・ 「和譲の地」出雲は朝鮮半島の対岸にあり、地理的、歴史的にも朝鮮半島とつながりが深く、
  世界恒久平和の入口である、朝鮮半島問題を解決する大きな役割を担う地であり、今その
  時を迎えている。

・ 朝鮮半島問題を解決するには、世界恒久平和創造を目的に、未来からの視点で在日4者、
 韓国・北朝鮮から、聴く耳を持ってもらえ、国連常任理事国、核大国であり、この地に大きな
 影響力を持っている中国、ロシア、米国の理解を得る状況を日本人が作らなければならない。

・ 人間自然科学研究所の今までの活動状況が、2006年7月に市民時代(韓国・釜山)、
 文公会報(韓国・ソウル)、中国のホームページに特集されるなど、一定の評価を得ていること
 を背景に、今その役割を果たす時が来ていると考えている。

具体的には
・ 日本の拉致問題を国際赤十字社が北送(帰還)を遂行することに依って成功した先例を
 生かし、国連事務総長に積極的協力を要請する。

・ 同時に、米朝国交正常化の動き、即ち休戦協定(1953年)を平和協定に変えようとする
 アメリカに遅れを取らないよう、日朝国交正常化交渉を併行して進める世論喚起の市民
 運動を展開する。但し、拉致問題解決こそ日朝平和条約(国交正常化)の効力を発する
 ものとする。

・ 国連事務総長に働きかけ、拉致問題を、日本、韓国、北朝鮮の赤十字社に移管する。
 そして赤十字社の共同作業を、政府、議員などが組織を作って支援し、赤十字社から
 賛意・協力を受ける。

和譲平和学の第一歩、世界恒久平和のモデルに

・この共同作業によって、拉致問題解決をもうひとつ高いレベルに置くことができる。
・ 共同作業を成功させることによってのみ、恩讐を超えることができる。そして韓国、
 北朝鮮、日本は、世界に紛争問題解決のモデルを提供することになる。

・ 北東アジアが世界恒久平和の入り口になる。それは韓国・北朝鮮の対岸にある
 出雲から始まる。その内容は2006年11月21日の和譲平和フォーラム出雲宣言の
 記載通りである。

・ こうしたプロセスを作るためには、普遍的価値創造のための @当事者意識
 A中庸思想 B会話が必要である。これが「和譲」の本質である。  
                                          以上

朝鮮籍・韓国籍に関するメモ

朝鮮籍と韓国籍の成立の背景


韓国併合により日本国籍を付与された大韓帝国の臣民については、日本の戸籍とは別に、
朝鮮戸籍と称される戸籍が編成された。以後、法的には、朝鮮戸籍に登載された者を
朝鮮人と称することになった。
日本が第二次世界大戦に敗戦した直後は、朝鮮半島は事実上日本政府の統治下から脱し
たものの、朝鮮人(朝鮮戸籍登載者)が引き続き日本国籍を有するのか否か確定した解釈
がなく、法制度面で極めて不確定な状態にあった。そこで、1947年に制定された外国人登
録令(昭和22年勅令第207号)では、外国人登録制度上は当分の間外国人とみなされること
になった。その際、「朝鮮」なる国家は存在しないにもかかわらず、外国人登録上の便宜から、
とりあえず国籍を朝鮮として登録することになった。

その後、1948年に大韓民国(韓国)政府が樹立された際、同政府は、当時日本を統治していた
GHQに対し、在日朝鮮人は大韓民国成立により韓国籍を取得したことになるので外国人登録上
「韓国」又は「大韓民国」の国籍表示を用いるよう、要請した。そのような事情等を踏まえ、1950年
以降、本人の希望があった場合は、日本における外国人登録上の国籍を韓国又は大韓民国に
書き換える措置が採られることになった。当初は単に本人の希望により書換えが行われたが、
便宜的すぎるとの批判を受け、1951年には、韓国政府が発行する国籍証明書を提示した場合に
書換えをする扱いがされるようになった。

1952年の日本国との平和条約(サンフランシスコ講和条約)の発効により日本が朝鮮半島の領有
権を正式に放棄したことに伴い、朝鮮人は正式に日本国籍を喪失した。同条約の発効日に前述の
外国人登録令に代わるものとして外国人登録法(昭和27年法律第125号)が公布・施行され、1965
年の日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)の締結により日本と韓国と
の国交が結ばれたが、外国人登録の扱いについては同様の取扱いが継続している。

つまり、現行の外国人登録における朝鮮籍の意味するところは、「旧朝鮮戸籍登載者及びその子孫
(日本国籍を有する者を除く。)のうち、外国人登録上の国籍表示を未だ『大韓民国』に変更していない
者」というに過ぎず、法的には、北朝鮮と何らかの関わりがあるわけではない。

[
編集] 登録替えの扱いの差異

朝鮮籍から韓国籍への登録替えの扱いについては、朝鮮籍はあくまでも便宜上のものに過ぎず、
本人の出身地を表す以外のものではないとされているのに対し、韓国籍は、韓国政府が発行する
国籍証明書の提示に基づくものであり、韓国の国籍を示すとされている。そのため、国籍証明書が
発行されていれば登録替えは容易である。

これに対し、韓国籍から朝鮮籍への登録替えの扱いについては、国籍の記載を単なる便宜上の籍
に戻すものであり、登録替えではなくいわゆる登録事項の訂正であるとの見解が示されている。その
ため訂正が認められるのは、国籍証明書の提示等がないため韓国籍の取得が明らかではなかった
にもかかわらず事務取扱上のミス等の理由により韓国籍への書換えが行われた場合であるとされて
いる。そのため、韓国籍への登録替えの場合と比較して朝鮮籍への登録替えは困難である。

[編集] 両登録籍の扱いの差異と実情


朝鮮籍として外国人登録されている場合でも、韓国籍として登録されている場合でも、日本国内においては、
実質的な国籍の問題や国家の承認の問題とは無関係であり、法律上の取扱いを異にしない。そもそも、
国籍を取得するか否かは各国の国籍法で定められ他国はそれに干渉することはできず、外国人登録
制度上の国籍は各国の国籍法で決定された国籍を反映させるに過ぎない。

しかし、在日コリアンが韓国へ入国する場合などにおいて、韓国政府の入国管理の取扱い上、韓国籍では
なく朝鮮籍であった場合に制限がある、などの事情があり、韓国籍を選択する理由は様々である。

一方、外国人登録制度上は、現在も日本が国家承認していない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
の国籍による外国人登録は認められていない。
朝鮮籍は北朝鮮の国籍を示すわけではない。しかし、北朝鮮を支持するという表明や、北朝鮮を支持する
わけではないが韓国も積極的に支持しないという表明として朝鮮籍を維持する人もいる。もちろん、朝鮮籍
がすなわち北朝鮮への支持を示すものではない。

朝鮮籍の維持/韓国籍の取得をめぐっては、在日コリアンの間で長きに渡ってさまざまな論争が繰り広げら
れた。1990年代後半では、作家・李恢成の韓国籍取得(在日朝鮮人文学参照)をきっかけにして、朝鮮籍を
「北でも南でもない『準統一国籍』」と考える作家・金石範と、同じく朝鮮籍を維持しつづけていたが金大中政権
発足により韓国は民主化したとみなして韓国籍を取得した李恢成とが雑誌媒体を通して論争を繰り広げた。