【2017年の総括と2018年の展望を語る懇談会】
日時 2017年12月28日午前10時半~午後1時
1、趣旨
(1) 芸術振興策、財源、財団づくりの可能性
(2) 国内外の政策課題につき意見交換
(3) 各個人の所感・抱負とフリーデイスカッション
*世界・日本・個人の十大ニュースを参考
2、場所 : 創生ワールド東京オフィス
3、主催 : NPO未来構想戦略フォーラム
協力 : 創生ワールド株式会社
3時間にわたる白熱の提言でした。発言した諸賢各位に共通するものは、
①文化、芸術の原点には理念のあること
②理念の底には宗教があること
③すべては手段であって手段を自己目的化しないこと
結論⇒以上の活動も平和でなければ実現できないこと
以上の3点と結論が総てでした。
現在の日本、アメリカナイズされた刹那主義・個人主義を脱し、長期的視点か
ら私達とその次世代のために総合的判断で、経済優先も必要ではあるが、底辺に
宗教心を持つ精神的文化の高揚に、ともに具体的な行動をとりたいという皆さん
の御心境だったと受け止めました。
開会の辞
【大脇】 日本の現在で、文化政策は充分といえるでしょうか。安倍首相は「美
しい日本」を目的としているようですが、政策としては経済優先で政権維持の人
気を維持しています。文化と景気、一国の繁栄には、この両者は車の両輪ではあ
りませんか。
そこで本日は、廣野良吉先生(成蹊大学名誉教授・UNOB) をお招きしました。
先生は芸術振興策、財源、財団づくりの可能性のテーマについて、芸術を、具体
的には芸術活動を通して、平和と環境を永続させる運動をされてきております。
演劇活動という現場で実地に劇団を主宰しています抱晴彦・グスタフ社長、女優
として、また演劇発信者としての渡辺宰希氏、デザイナー一色宏氏の皆さんから、
とりあえず、芸術とは何か、芸術についての振興策の具体的な提案をいただくこ
とから始めたいと思います。
【記録者(武内)の感想】 一色氏発言の最重要部分 本日の文化政策振興策は
次世代のためのもの、未来への提言、一色氏は未来をもっとも鋭敏に②感じ
取るのは子供である。我々はいったん立ち止まって子供の視点で考えたい。
【一色】 優れた芸術も理解する能力のある鑑賞者があってのこと。情報を理解
する世代を育てたい。また未来は子供たちの視点で見ると、いかなる未来が望ま
しいかという姿が見える。こどもの視点で考えたい。
【廣野】 1954年から国連に関係してきた。私の眼から見ると「国連=全世界」と
いう認識ではない。欧米中心である。現在は欧米・ロシア・中国の三極
構造ではなかろうか。 が、中心は欧米であり、欧米の文化が国連の根底に横た
わっている。文化には歴史があり、その歴史には理念で貫かれており、理念が具
体化されてイデオロギーとして具現している。欧米の理念、その中心は「人権」
となっている。
21世紀には欧米中心・人権、それに加えて、世界には異質の文化がある
という前提を共通の認識として「文化の多様性」を大前提にしていく時代がくる
ことを期待する。文化は生活そのものである。五感で認識するすべてが文化である。
ユネスコは国益の衝突の場でもある。 「文化の多様性」を認めることこそ平和の
前提である。安倍総理に提言したい。「経済よりも文化を」
【大脇】 廣野先生と1993年以来協力関係のある武蔵野音大出身の小池
さん、どうぞ
【小池】いろいろな活動してもお客が苦い経験をした。
私達には、環境は大切なもの。「環境維持のミュージカル」と「赤毛のアン」
の2つの公演。 「赤毛のアン」3000人の応募、「環境テーマ」なんと 15人、
これが現実の姿です。乃木坂46の公演は2日で五万人の動員ができる。財政的に
苦しいので、応援してくれる企業があればうれしい。
多様性を越えての芸術はあるのか、について決断できない。三味線と琴でベー
トーベンを演奏することは東西の文化の融合といえるのだろうか。
3000万円かけての公演、サックスで佐渡おけさ演奏しての踊子は一人だけ。
「融合」とは何かについての疑問がある。 環境問題では人が呼べない。
【大脇】 政治の世界から藝術の世界へ転身された抱社長に、続いてお話を・・。
【抱】 演劇を通して史実の紹介、真の演劇を追求している。問題点はい
ろいろとある。①事実を史実として演劇に取り入れることをしている。NHKの大
河ドラマも史実に忠実ではない。大河ドラマに取り上げられる時代、日本には
サラブレッドはいなかった。日本の在来種の馬は小型のポニー程度のモノ。それ
が40キロの甲冑を着た60キロの武士を載せて戦場を疾駆できるだろうか。
②日本の文化としての演劇はおカネがかかりすぎる。舞台を作る装置専門職、演
出家、大道具、音響、照明、企画・・それぞれの担当者を必要としている。
これを一人でやったのが、勝新太郎と黒沢明だった。
③演劇は観客200人が限界だ。大きな劇場では役者の表情が見えない。・・とす
ると費用は削減し、小道具も史実に忠実に、観客数の制限。
これら全部はトリレンマ(三刀論法)で実現できない。
私、抱は公的助成を一切受け取らないで活動を続けている。公的助成には足枷
がついていて理想の追求には役に立たない。
【大脇】 廣野先生のご尽力で国連との連携を実現し、国際的演劇活動を
展開している小池雅代UNクラシックライブ協会代表も「藝術こそ国際の交流の手
段だ」としている。劇団グスタフ女優渡辺宰希さんに現在の活動を紹介してもらいます
【渡辺】 演劇の表現者として、思うことがある。カナダでは高校・中学に演劇
のクラスがある。教育の中に演劇があることに驚いた。 私は現在、限界を痛感
している。演劇のメッセージ性について人間社会での演劇の必要性は大きいが、
日本人である我々のもつ多様性そのものが広い世界に受け入れられるだろうか、
いま疑問を持つに至った。 「いいもの」をつくっても受け入れられないことが
多い。「いいもの」「利益」の二つが相反関係にある。好きなものしか見ようと
しないという観客への教育が必要だ。
【大脇】 庶民的な雰囲気、例えば京や浪花のおかみさん、とした場合に
多様性として別の世界が認識してくれるかということですね。
【一色】 命の中心には「尊厳」がある。これを大前提として国と社会が対立し
相互に否定している現状を互恵の関係にしたい。
【大脇】 一色先生はガンジーの残した「七つの社会的大罪」を引用され
たが、私は聖フランチェスコの「平和の祈り」次の言葉を伝えたい。
「ああ主よ! われをしておんみの平和の道具とならしめたまえ」要するに
「人間のすべての活動は、平和への道具である」と言える。
本日のテーマは芸術が中心だが、芸術を何のために使うのか、の視点で再考し
たい。藝術に傾倒するあまり、芸術が究極目的となっていることへの反省が必要
ではないか。これと並んで、時代の風潮が
①唯物的に流されて精神的な価値が忘れられていること
②その場限り、刹那的な利得追及で長期的視点での判断がない
③個人中心で連帯感のない時代
の三点に流されている。
私は、「判断」は①総合的広い視野 ②長期的視点 ③現象の背後の本質の洞
察を前提とするべきではないか、と提言したい。
【参考情報】芸術と資金、公的助成、平年30年度予算から)
44兆、科学技術 1兆、文化 1077億。 藝術新興の予算はゼロに等しい。
環境問題について植林等にカンパを要請するとリターンがある。しかし芸術について
カンパをお願いしても反響はない。
【抱】大きな宗教団体には芸術家が入っている。
【大脇】 トリュウム熔融塩炉のシンポジュームで記録に関して暗黙の規制が
あったが、金子先生の決断で、録画が可能になった。金子先生 どうぞ
【金子】 事業でも演劇で活動するにも、その原点には「理念」が確立されて
いることが絶対だと思う。3.11以来脱原発の時代に入った。ところが原子力
工学を専攻する学生が入ってこない。将来が心配だ。
【大脇】 原子力も安全なものがあり、その研究も必要だ。元・野村証券
役員の福井一夫さんどうぞ
【福田】 野村証券から身を引いたのは、環境問題への力点が会社と違っ
たからでした。環境への資金投資も難しいところがある。芸術と文化についても
資金を投下するという点、環境と一脈通じるものがある。
「広い視野」で見たいですね。芸術と文化、その根底には宗教がある。原子物
理学以外にも神と宗教の実体も考慮して核戦争の廃絶を進めたい。
【大脇】 18年前にルーマニアから来日したルーマニア観光局のアレキサンドル・
セルバンさんどうぞ。
【セルバン】 日本の文化は高いレベルです。ただ文化の基礎となる政治を見る
と、疑問があります。どうも日本は大国アメリカに操られているように見える。
【大脇】 日本はもっと発言しろというのですね マトメとして廣野先生 どうぞ
【閉会の辞】
【廣野】 基本的行動原理としての哲学。それを共有したい。すべては環境ですね。
文化と技術その資金、議論百出です。しかし、平和でないと なんにも で
きません。 大脇さんの発言にもありましたが 「すべては手段である」手段を
自己目的化することなく建設的な未来への提言を発信しましょう!
参加者:
NO |
氏 名 |
肩書き |
備考 |
1 |
アレキサンドル・セルバン |
ルーマニア観光局 |
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2 |
一色 宏 |
ロゴ・デザイナー |
|
3 |
大脇準一郎 |
未来構想フォーラム代表 |
|
4 |
抱晴彦 |
グスタフ社長 |
|
5 |
金子和夫 |
アイコンテック株会長 |
|
6 |
小池雅代 |
UNクラシックライブ協会代表 |
|
7 |
小林詩花 |
美浜クリニック秘書 |
|
8 |
武内光路 |
慶応大卒、記号論理学 |
メモ |
9 |
蓮本健次 |
「漢江より還る」著者会社社長 |
|
10 |
廣野良吉 |
成蹊大学名誉教授・UNOB |
|
11 |
深井利春 |
創生ワールド社長 |
|
12 |
丸山博行 |
創生ワールド執行役員 |
|
13 |
山田修一郎 |
(有)カノン株社長 |
録画・編集 |
14 |
福田一夫 |
元野村証券・フジフューチャーズ役員 |
|
15 |
渡邊宰希 |
女優 劇団」グスタフ |
|
16 |
渡辺和子 |
(社)命・地球・平和産業協会代表 |
|
17 |
竹内民哉 |
創生ワールド(株)営業スタッフ |
|
芸術振興策Ⅱに続く⇒