コロナは、文明の対転換を迫る、現代への黙示
      「物から心へ!」
目覚ましい科学技術の発展 
 社会科学の世界は実態を把握することが難しい。人間(大衆)の欲望がめまぐるしく変動する
ので、客観的に把握することが極めて困難なのである。社会の動向を数理的に把握しようと統
計学、計量経済学などの手法が発達し、選挙の動向、経済の動向も昔とくらべ、だいぶ当たる
ようになってきた。
 ところで、皆様は、天気予報が最近、よく当たるようになって来たこと、何ヶ国語でも瞬時に翻
訳すること、音声を瞬時に文字化する技術がひと昔と違い、各段に発達していることにお気づき
でしょうか? その理由は?? 一つには、衛星を使って強大な高性能のコンピューターとつな
ぎ、膨大なデーターを瞬時に処理し、再び衛星を介して受信者に届けることができるからです。
Walking Dictionary というフレイズもあるが、今や携帯さえあれば誰でも物知りになれるというこ
とである。人類は神の知恵(全知)、そして技術(全能)に近づいているようにも思える。知識が
一部の人に独占され、貧富の格差が増大し、深刻な南北問題の現況となっているが、科学技術
の普及が技術・知識の平準化をもたらす日は近い。


科学と価値の問題
 そこで深刻かつ喫緊の問題は、この科学技術を何のために使うのか、価値観の問題である。
 携帯を使った狡知な犯罪も多くなってきた。核のエネルギーの誤用は過去の戦禍とは比較にな
らないほど、地球の生態系を壊し、人類滅亡の恐怖さえ予測される。それにも関わらず人類は
危ない道を驀進することをやめようとしない。 それは人間の欲望、性(サガ)である。東西を問
わず清貧が美徳とされて来た。しかし近代における科学技術の目覚ましい発達は、人々にもっ
と沢山、快適、早く便利な生活へと果てしなく欲望を増大させ、清貧の美徳がどこかへ霞んでし
まったかの感がある。
 
「物から心へ」文明の大転換期
 最近ローマクラブのレポートを読み直している。現状の把握、人類の危機をいかに回避して新
しい平和な未来を拓くか、その指針を与えてくれている。1973年、若輩な小生であったが、ロー
マクラブ東京会議に特別に招待を受け、全スケジュールに参加する恩恵にあずかった。その会
議で、某参加者が現代の状況を「自然科学の行き過ぎ、社会科学の怠慢、哲学(道徳・倫理)の
貧困、宗教(芸術)が死んでしまった!」と発言したことは忘れることができない。その後、毎年
のようにA.ペッチェイ氏、A.キング、A.ラズロー氏らと会う機会があった。人類の未来を見据えた
高邁な理想への情熱に魂を鼓舞され、透徹した知性の洗礼を受けた。
 人類に必要なのは、科学技術(産業)の発展や政治(経済)の発展ではなく、これを多少セイブ
しても、人文科学への人の欲望の方向転換である。環境や人体、人の動きによりも、人の精神
性(心:知情意)の欲望に関心を向けることである。人文の世界は目に見えい人間の心の働きを
扱う。文明に対して文化と言われてきた世界だ。思いがけないコロナの襲来は、人類に文明の
大転換を迫っている。「このまま物質文明の発展の高速道路を驀進をしておれば、コロナどころ
ではない地球生態系の崩壊、人類滅亡の危機である」との天の警告とも言える。物や人の移動
の物資文明時代から、居ながらにして心の動き、情報を伝える精神文明の時代(価値創造の時
代)へとまさに古今未曽有の大転換期である。幸いなことに科学技術、IT、コンピューターはこ
れを推進する強力な助っ人である。
 
自分と向き合うこと
 物から心へのシフトに次に来る、それよりももっと困難な、そして人類にとって最大、最終、究
極の課題とも言えるものは、自分の心、欲望の分析、自分と向き合うことである。我々は、文明
の発達に心を奪われ、自らを省みる余裕もなく、「忙しい、忙しい!」と突っ走ってきたのでない
か? もっと良心の声(本心の叫び)に心を傾けるべきではないか? 「色是空、空即是色」(16
歳とき、小生は鎌谷仙龍師から深奥な世界を学んだ)「悟り:吾が心)が必須ではないか? 今
思っている自分は「虚我」であり、「真我」、「永遠の今」生きることを教えている。厄介なのはそ
の虚我との戦い、邪心と本心の戦いで最終戦争とも言える最も難しい厄介な戦いである、歴史
に名を遺した聖人、偉人、義人はその修羅場に勝利した克己の人々であった。


半世紀の歩み
 小生、20歳の時(1963年)、当時は理工ブームの時代であった。「何のための科学技術なの
か?」人間幸福のための一つの手段ではないか? 便利になればなるほど、人と人の心の距
離は遠くなっている。科学技術の世界には、小生よりももっと優れた人々がゴマンおり、互いに
しのぎを削っている。しかし人間幸福にとってもっとエッセンシャルなのは「人と人の心の繋がり」
である。人類的に見れば、科学技術の発展に頭脳が偏り過ぎているのでなか?「人と人のここ
ろの仲人になろう!」と一大決心をして歩み始めて早や57年のボランティア生活になる。父は呉
の海軍技術研究所の技師、戦艦大和の電気系統の技官であった。戦後その技術を生かし、ラ
ジオ屋から始めて、工場も創り、県庁、鳥取大学、大手企業に特機を納品してきた。鳥取県で最
も古い老舗である。今は息子が「お爺ちゃんの事業をやる!」と突然言い出して、鳥取に帰り
やっている。しかし会社は往年の活力は全く無い。小生が跡を継がずボランティアの道楽三昧
にふけっていたせいではないかと心が痛む。元々、父親譲りの技術者気質の小生は、口下手
で、上手口を言えず、善意で話しても、時と所を間違えて、人の心を傷つける失敗の多い半生で
あった。そのような八方破れの小生でもあっても心の純粋性を見てお付き合いくださっている
方々もいることに感謝している。


日本と世界に頭脳が必要!
 今、日本と世界に必要なのは、頭脳だと痛感している。菅内閣は無駄の多い縦割り行政の改
革を掲げているが、「省益あって国益無し!」の官僚体制に依存している限り、また小手先の改
革に終わるであろう。政治家はもっと情熱(夢・使命感)をもって官僚(国民)リードしてもらいた
い。世界に必要なのも頭脳である。「国益あって地球益無し!」の国連に広い視野から議論する
上院を創る案も浮上している。ローマクラブの活動はその良メルクマールであったと言えよう! 
今年は喜寿、いつの間にか小生も老人の仲間に入るようになった。足腰に痛みを覚えるこのご
ろであるが、西原春夫先生、野田一夫先生らの諸先輩に倣って生涯現役で歩みたいものである。 

2020年10月29日(木)             大脇準一郎 拝

 On Thu, 29 Oct 2020 08:13:44 +0900  「良い未来 投稿

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