「新時代の教育を考える」 2020年8月24日(月)速記メモ 文責:武内光路 

【大脇】本日の会場は宮田先生の御厚意よるものです。有難うございます。

牧野先生の上京により先生の長年にわたる大学構想も拝聴致したく存じます。鳥取大学農学部の遠山教授の指導の下、乾燥地農業をきわめてこられました。九大大学院で産学協同プロジェクトのキャップとしても活躍されました。発展途上国の経済拡大に貢献したいとの情熱で計画を推進しています。ところで東大吉見教授に10回にわたってインタビューした金木さんにその概要をお願いします。本日のテーマ「新しい大学像を求めて」にピッタリです。

【金木】吉見先生は東京大学大学院情報学環教授 東京大学出版会理事長。同大学副学長、大学総合研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割をはたしてこられ著書も多数ですがインタビューの原点は『大学はもう死んでいる?』(集英社新書)です。

これが出版されたのは、ちょうど新型コロナ騒動直前の1月末に吉見教授がオックスフォード大学教授の苅谷剛彦氏と共著で出版した『大学はもう死んでいる?』(集英社新書)が今注目を集めていますが、それは、同書がまるで世界が一度止まることを予期していたかのように、日本はのみならず世界中の大学が抱える根本的な問題をあぶり出しているからに他なりません。

 東京大学大学院情報学環・教授の吉見俊哉氏に聞いた。ちょうど新型コロナ騒動直前の1月末に吉見教授がオックスフォード大学教授の苅谷剛彦氏と共著で出版した『大学はもう死んでいる?』(集英社新書)が今注目を集めている。それは、同書がまるで世界が一度止まることを予期していたかのように、日本はのみならず世界中の大学が抱える根本的な問題をあぶり出しているからに他ならない。

インタビューはコロナ感染拡大の後に始まりました。インタビューの冒頭、吉見教授は

『新型コロナウイルスは「世界の軌道」を止めた。私たちは今避難を余儀なくされ、物質的な考えを止めさせられ、自分が生きることだけを考えている。そして、このーン、竜巻、海洋汚染、氷山崩壊などと同じで、貪欲な資源獲得の争いや終わりのない戦争の結果であることに気づき始めている。

   一方で、世界が一度止まったことで、私たちは自分の人生で大切なものは何かを考える時間ができる。

何が現在、問題化しているか。それについて、どう対処するか。

【文明の転換 物⇒心】

21世紀

① 2001911日 アメリカの同時多発テロ

② 20089月 リーマンショック

③ 2016年 イギリスのEU離脱とトランプ大統領当選

④ 2019年 現在の新型コロナ感染症のパンデミック

と四回の世界的ショック事件が発生した。

この四回に共通すること⇒過去30年に渡って推進された「新自由主義的グローバリゼーション」それに対しての反動と考えられる。

重要なことはパンデミックは歴史上はじめてと言うことではない。

1)スペイン風邪 第一次大戦で拡散

2)コレラ インドベンガル地方から

3)天然痘 スペインが南米に

4)ペスト 史上最も過酷なパンデミック

この例でみれば、グローバリゼーションとパンデミックは表裏一体。

グローバリゼーションがもたらしたものは、接触、交流、越境、対話プラス科学技術

それが人種、民族、文化の違う人達が社会的距離が密になった結果、今回はそれを引きはがす反動となっグローバリゼーションた。

 大學とは? それはグローバリゼーション側にある。大学の根本は「移動の自由」にある。

鎖国、封鎖、隔離の上にソーシアルデイスタンスをとっグローバリゼーションて、壁を作る社会では大学の価値は消滅する。

ユニバーシティーという言葉がヨーロッパに生まれたのは12世紀から13世紀のこと。当時は商人、職人、聖職者、知識人は都市から都市へと自由に渡り歩く環境が成立していた。その環境が大学の誕生を可能にした。誰もが旅人、教師も学生も旅人。知的な旅人の集う場所としての「大学」

大学人は「移動する人」

「グローバリゼーションは文明の運命」と思う。織田信長、豊臣秀吉のグローバリゼーションから徳川家康に始まる「反グローバリゼーション」は単なる支配者の交代ではなく、歴史的パラダイムの大転換だった。清朝は内向きだったので徳川幕府の鎖国は17世紀以降の世界の潮流に合致していた。

私は ハーバード大学と東大を比較する視点を持っていた。トップユニバーシティーであるオックスフォード大学について知りたいと・・。

この三大学を比較すれば日本の大學の抱えている問題点が明確になると思った。

2000年以降、「平成の失われた30年」に進んだ大学改革は部分的な個所が対象で真の大学改革ではなかった。

さらに「新自由主義的規制緩和により大学が抱え込んだ問題点」が発生した。

その原因は三つある。

(1)大学設置基準大綱化による「教養教育」弱体化

   教養と専門の仕切りを外した結果、教養課程が疎かになった

(2)大学院の重点化

   教員一人あたりの予算が増えるので。しかし大学院生の卒業後を考えない。

(3)国立大学の法人化

   自民党と財界は完全民営化路線だった。文科省は権力基盤のためにも完全民営化に反対した。できたものは中途半端。

以上の三点は「学長のリーダーシップに期待」ということで誰も責任をとらない

仕組みとなった。

これに新自由主義的規制緩和が加わった。現在大学数は約800となった。

これで大学はサービス産業となった。1990年には学部の名称は100未満が現在では500以上だ。

この問題点の他に改革以前から抱えているものがある。

カレッジ   リベラルアーツ ファカルティ 学部 ユニバーシティ

この三者がオックスフォードでは三元的構造になっている。

日本ではカレッジの機能が非常に弱い、それが世界的な弱点となっている。

1945年敗戦までは帝国大学を中心に大学は濡50未満。旧帝大は今の大学院に近く、

旧制高校がいまでいう大学の前期課程、以前の教養課程だった。

リベラルアーツとは中世以降「人が持つ必要がある技芸の基本」で、文法学、修辞学、

論理学、代数学、幾何学、天文学、音楽の七分野だ。

戦後占領期の改革で、教育課程が一段階ずれた。

リベラルアーツを学ぶ高等教育がなくなったので、GHQは大學前期にジェネラル

エデュケーションを新制大学前期に都の込んだ。GHQは旧帝大を大学院レベルと認識

しなかったので、新制国立大学の学部の上に大学院研究科を充実させる方向に進んだ。

結果は「屋上 屋を重ねる」となった。複雑骨折のようなことになった。

カレッジ リベラルアーツ ファカルティ学部 ユニバーシティ

三つの機能を満足させる方向に進むことが望まれる。

重要なことは、『大学は複眼的な学びの場とする』

メジャー主専攻 マイナー従専攻を組み合わせること。メジャーをダブルにしてもいい。

理系と文系の組み合わせは効果的であろう。医学を主専攻とし哲学を従専攻

コンピューターサイエンスを主専攻とし知的財産権を副専攻とする

リベラルアーツの根幹である哲学は単独では潰しが効かないので敬遠されているが

マイナー科目としては黄金カードになるだろう。

医学と哲学 工学と哲学 経営学と哲学 コンピューターサイエンスと哲学

「とりあえず就職して安定した収入」を目的とする気持ちもわかるが、「数千年に渡っ

て人類が育んだ知識の集積」を学びたいという高い知的探究心をもった学生もおる。

究極的には、大学とは、そういう知恵を学ぶところである。

「文系学部廃止の衝撃」を執筆したが、そこに書いたのは、

「役に立つ」の意味は二つあり

  「直接何かの役に立つ」手段を提供する

  「そもそもの目的、価値を創造することに役にたつ」

そして後者に必用なのは人文社会系の学問が最適だ。

この考えは日本では認められていない。リベラルアーツそのものが単なる教養としか見

られていない。

日本人の多数は、学問は専門分野を深く掘り下げるという考えだ。

知を細分化して吸収する仕組みを発達させてしまい、長期の知的想像力が失われた。

 (注) 吉見 俊哉(よしみ・しゅんや)

     1957年、東京都生まれ。東京大学大学院情報学環教授 東京大学出版会理事長。同大学副学長、大学総合研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割をはたす。

      20179月~186月まで米国ハーバード大学客員教授。『大学はもう死んでいる?』(集英社新書)など多数。

吉見教授は東大の改革も意図したがムツカシイとのこと。ハーバード大学へ各員教授としての体験から世界の大學の現状を見ようと思い、でこのオックスフォード大へも。

ここで私の感じたこと・・

①役に立つこと」とは何か、それは「何かを実現すること」のためにある。その「役に立つこと」「何かを実現すること」を大学としては、どう捉えるか。

これも時間的に50年単位で見ると「何か」は大きく変化してしまう。

従って大学の目的としては、「何を目的とするか」の「何」にあたるものを創造する、それに向けたカリキュラムを設定するとして大学に幅を持たせることができる。

②日本では戦後の学制改革でリベラルアーツを教育する部門がなくなったことに危機意識を持っている。吉見教授はソニーがグーグルのような世界的企業になれなかった原因が、ここにあるのではないか。

 ③学問とは何か。最高の知識を学び、その分野を深く掘り下げるということだろうか。オックスフォードで体験したところでは、深く掘り下げた段階では、根が相互につながっていたという感触を得た。

以上の三点から私は哲学不在と思う、深い段階での相互の繋がりを意識しているのは哲学ではないか。

発展途上国では追いつき追い越せという目的で学問=大学が動いていく。

日本の現状は、この段階である。

日本では知を細分化して吸収する仕組みを発達させているので長期の知的想像力が失われる。

大學入試についてはよく理解しているが、その先にある「大学とは何か」についての理解が未成熟だ。

グローバル化については外国人教員比率を高くし、英語での授業の比率も増やせというう県がある。これには賛否があるが「日本語だけに閉じこもる」のではなく「英語で考える」ことも大切だ。30%程度の科目が英語でなされることが理想だと思う。

大學を成り立たせているのは「移動の自由」だから学生同士が英語でコミュニケーションすることが日常ではない、という考えを一掃するこだ。世界全域で通用する英語で自分の考えを論理化し、構造化して相手に伝える訓練は重要なことだ。

コロナ禍でオンライン化ということが話題になった。2017年では30%未満が現在では90永場がオンライン化を取れ入れた。コペルニクス的転回といえよう。しかし小中高ではオンライン化には進まなかったが大学では可能だということが分かった。

『オンライン化⇒世界の壁消滅』

といえよう。ドラエモンの「どこでもドア」がオンライン化で実在となった。私の授業は仙台、福岡、札幌、ソウル、北京の学生も聴講している。

ZOOMを使って東大と京大と共同授業も可能だ。東大とオーストラリア大との協同授業も。

ところが 東大とオックスフォード大の協同授業はできない。

「空間の壁」は消えたが「時差」という「時間の壁」は立ちはだかっている。

最終的には九月開始にならなければと思っている。

【大脇】1970年代、筑波大、其の他の大學設立にさいしてお手伝いをした。9年間大学総長会議の事務局長をした経験から見ると吉見教授の指摘は適切で当を得ている。これからの大學はどうあるべきか、は理系に走りすぎるのではないかと危惧する。

大学は普遍性を持たねばならない。ユニバーシティという人為的国境のない普遍性。現代はグローバル化で「人、物」の動きが活発化したが今 コロナ感染症で分断された。「人、物」に加えて「文化」の交流でバランスを取る必要がある。スマートユニバーシテイーという発想の実現を期待する。

 【金木】大学の新設ということでは、メジャー・マイナーか、ダブルメジャーはどうか。哲学を学ぶと言うことは3000年の人類の知的進歩を学ぶことである。東大の理系学部の学生、特に勉学意欲の高い学生は哲学を学びたいと言う。原子力工学と哲学、農業と哲学という学び方ができるシステムはどうだろうか。

 【大脇】宮田先生は現役学長時代に国立大学の改革の実務を推進されたお方だ。単なるお飾りとしての学長ではなくビジネス感覚をフルに発揮して大学の運営と改革にあたってこられた。

 【宮田】大学には哲学も確かに重要な課題と思う。現在の実務的な感覚で見ると若い人が残れないシステムとなってしまったことが問題だと思う。教授定年70才となると教授は長年にわたって大学に残ることになる。若い人のポストはどうなるか? ポスドク、それは先が見えないと若者はマスターで大学を去る。私は若い人の働ける場を大学に作りたい。整理してみると

①大学に若い血を! 大学には若者が働ける場を増やしたい。

②小学校低学年にも問題がある。コロナ感染症で休校が続く。私の孫は私立小学校だがパソコンを配ってくれ、宿題に使っている。

ところが公教育ではおカネ不足ということで、そこまでやれない。これでは小学校低学年から学力格差が拡大する。政府がパソコンを全小学生に配る程度のことをやってもらいたい。教育でもシステムではなくおカネという経済的課題が先決問題ではないか。

【大脇】では続いて牧野先生、農業アカデミーの中間報告をお願いします。

【牧野】宮田先生 立派な事務所を会場として頂き有難うございます。

1915年、国連が世界農業遺産を発表、私の出身地、大分県国東半島が指定されました。

私はライフワークとして農業を研究してきています。地元大分県知事から国連から選ばれた名誉ある地元農業を単なる歴史的記録ではなく、大分県として世界的規模で人類に貢献するにはどうするかという相談を受けました。

私は国連の活動の一環として動く、国連という名称を冠した大学を作っては、と提案しました。早速国連本部に飛び、「食糧危機」「環境保全」「発展途上国の開発」の三つをテーマにスピーチしました。国連側は、その三つのテーマ、それは国連でもその方向に向けて進みたいとしているという反響がありました。その後五年間、この目標の実現に取り組んでいます。

日本には「国連大学」という名称の組織が東京渋谷にありますが、これは実際には「大学」ではなく国連の平和活動をセンターと言うことです。

ライフワークの農業、鳥取大学で学びました。鳥取には有名な砂丘があり現在は乾燥地研究センターとなっていますが、私の学生時代には砂丘研究センターでした。ここで沙漠研究の第一人者遠山先生に就き、また果樹・園芸の林信二先生にも学びました。

鳥取産として有名な二十世紀梨は 元来千葉の梨だったものですが、これを鳥取の砂丘で栽培を試みました。「砂地で果物」それは非常識中の非常識な発想でした。が、研究は実りました。なんと砂地は農業に適していました。砂そのものは荒い粒子でして栄養成分は流れてしまう。そこで微生物に着眼しました。地面の下には微生物がいる。その微生物は水分と栄養を蓄えていたのです。スプリンクラーの設備はしましたが、微生物の蓄えた養分で梨の糖度が上がった。

さて、大学卒業と同時にオーストラリアでの仕事の話が来た。大商社がオーストラリアの砂漠で商品とする農作物を栽培する計画要員でした。

私は遠山先生と過ごした内モンゴルの農家、貧しくても一家団欒の人々の役に立ちたいとの思いで内モンゴル行を決断しました。

内モンゴルは内陸です。すべては「砂漠」 農業とは無縁の「砂漠」穀物食糧生産不可能の土地。遠山先生は近い将来に世界的食糧危機が来るとして研究を続けていた。定年後も一年の大半を内モンゴルで暮らして研究を続けた。遠山先生は97才で他界。300万本のポプラで「砂漠」を緑花として遠山先生の遺志は実った。ポプラ移植の前には土地の乾燥を防ぐためにクズを植えて準備した。こうした努力の結果、見事に300万本活着 !

私の得た結論は「砂漠」は農業に最適だということだった。砂地、それは粘土ではない。従って耕すには力が要らない。固さがなく、また軽い。勿論 水という大問題はあったが。天山山脈、雪解け水、それが地下水としてあった。井戸の掘削で農業可能な土地となった。

何を栽培するか。!果物でいこう!

ブドウ、メロンを取り上げた。 内モンゴルの「砂漠」は日中の気温は60℃から70℃だ。しかし日没から深夜になると5℃前後までとなる。

しかも冬はマイナス20℃なんだ。冬は 寒さで枯死する。!どうするか!

そうだ! 地面に深さ五十センチの溝を掘って 20mにも伸びたブドウの蔓を埋め砂をかぶせよう。砂は粒子が荒く、空気が流通する。ブドウの蔓は呼吸ができる。 !ブドウは冬を生き延びた!

植物の生存戦略、適当な温度ではない気候に備えて 糖分を過剰に蓄積するようになった。!その結果、糖度30度のブドウ!

日本での果物はせいぜい糖度18度ていどだが、劣悪な気候を生き延びた結果として糖度30度のブドウが実った。

国連でのスピーチに、「食糧危機を解決するには低開発国の砂漠で農業を興し農産物を先進国に輸出しよう」と訴えた。

ブドウ、メロン、トマト、野菜など。エジプト、アメリカ西海岸、メキシコで試験的栽培を進行中だ。

国連そのものも 食糧危機と環境破壊には危機感を持って対処している、というが現実には森林を伐採しての耕地化なので、水害多発という副作用を齎している。

国連も総論としては食料危機、環境保護という目的には47賛成している。が現実に動く場合には、つまり各論に入ると意思統一ができなくなり、経済社会理事会でも結論がでないままに、先送りが続いている。

資金不足で私は先祖伝来の土地も売り、世界的な食糧不足による飢餓を招かないように、学校すらない低開発諸国の人々に教育を準備し、誰もが楽しい家族として暮らせることを願って努力を続けていく。

【大脇】牧野先生は学者であり学究の徒としての毎日を続けており、それと現実社会、利害の対立する組織を相手に御苦労されております。

次は日本ビジネスインテリジェンス協会を組織している中川先生です。 

【中川】私は商社に35年おりました。その後は経済的な面ではなく、溢れる情報の時代に、その情報の選別と、次世代の育成の教育の二点に絞って活動を突けています。ビジネスインテリジェンス協会と、東京経済大学を経て現在は名古屋市立大学で特任教授をしている。名古屋市立大学では22世紀研究所を立ち上げている。21世紀を対象としている組織は数々あろうが、私は特に時間的に長いスパンでみていこうと思い22世紀研究所とした。

高校は鹿児島ラサール高校卒業。ラサールとは300年の歴史を持っており現在では各国に1800の学校を持っている教育機関です。ラサールの特徴は倫理Ethicsと新旧の聖書を英語でやることだった。

現在 世界はコロナ感染症で揺れている。アフターコロナには農業も最重要となると思う。私の好きな言葉〖実践無き理論は無意味だ〗

またその反対の〖理論無き実践は実らない〗でもあろうか。牧野先生の理論が実践の段階で、実りつつあるので期待している。

アフターコロナには経済的に大不況が到来すると危惧している。

感染症パンデミックは歴史的にみてパラダイムシフトを齎してきた。疫病に翻弄されてきた過去の事例、何回ものパラダイムシフトを経験してきているが、現在は新型コロナウイルスに関して、医学の進歩しているので研究は過去の時代とは比較にならぬほど多数かつ早い進展を遂げている。結果として「情報過多」 その中で適切な情報を取捨選択していくことこそ生存戦略の一丁目一番地ではなかろうか。

縁あって広瀬先生に東西医療の融合が必要だと教えられた。今後は「教育」「情報」に加えて「東西医療の融合」を目的として進みたい。

 【大脇】では高等教育について長年研究を突けてこられた青野氏にお願いします・

 【青野】1977年に地域科学協会を立ち上げそれが発展して現在の組織、高等教育情報センターとなった。しかし原点は市町村単位を対象として情報を提供したいとして考えたいという思いである。時代は大きく状況を変えた。工場団地を造成して企業誘致をしたいとした市町村も期待が裏切られた。

大学を地方に、という政策もシナリオ通りには行かなかった。各大学と地域との交流もないままに終わった。私はセミナーを開き、それを出版してきた。

その経過からみて思うに民間の大学新設には文科省の審査は厳しいものがあった。1985年以降に新設した大学は私の出版したものを手引きとしている。その縁でいくつかの大學とコンサル中だ。

牧野先生の大學構想については、まず組閣⇒教授陣の確定が第一と思う。学長、学部長と研究陣を確立して、研究に重点を置き、そこへ学生が集まるということだろう。私は教育も専門のシンクタンクがあって教育政策を立案することが望ましいと思う。

【大脇】山形からきて頂いた皆川先生どうぞ 

【皆川】牧野先生には伊豆でお目にかかり全人類のためにという広大な博愛精神に撃たれました。私は山形大学を10年ほど前に退職しました。現役時代には宮田先生に随分お世話になり御指導頂きました。

大学を作るのは大変なことで、とりあえずは、実用的な部分を広めることから初めて頂きたいという思いが有る。私のところに来るのは7割程度の外国の若い人です。彼らの言うには砂漠の緑化、西洋医学ではない漢方薬などに強い関心を持っている。普通の人が手の届くという部分から拡大して頂きたい。

ある研究会に出席したら話題は論文のことばかりで現実に問題化している具体的名事象についての言及がなかった。

医学についても42兆円にもなっている。それはドイツ医学を継受している。病気のある人を前提にした医学だ。そういう医者に「健康になるにはどうすればいいか」との質問は無理だ。私の先生の一人が砂漠対策としては超吸水性ポリマーを埋めればいいと。ところが時期が早すぎてそのままになった。ところが鳥取大が同じ問題を取り上げるとすぐ話題となる。

牧野先生に訊くと沙漠も掘れば水脈があるとのこと。そういう知識を広めるにも牧野先生をサポートする人を多数集めて具体的な活動を広めて頂きたい。

 【大脇】鳥取へ帰郷したとき 鳥取市長からどういう大学をつくったらいいかと聞かれて提言した。それは日本海新聞にも掲載された。海外青年協力隊として観光気分で外国へ行くだけでは無駄なこと。海外諸国で具体的な活動で、その国に貢献する実力を備えた青年諸君を育てることを目的とした大学、それこそ、必要な大学ではなかろうか。高い抽象的な理論の学問ではなく、具体的な経済と生活に実績を上げることができる知識、専門学校にプラスアルファ程度の大學、実現させたい。結果としては遠山先生の意見で「環境大学」とむなった。

 【皆川】福島原発での問題。微生物でセシウムが削減できるとのデータ。理由が分らなかったが、九大・三好先生の説明でわかった。微生物は水を蓄える力があり、セシウムの周りに水を入れたカプセルで取り囲むということのようだ。牛糞が効果的だ。セシウムの稲藁を牛に食わせる。牛の腸内の微生物がマイクロカプセル化する。放射能汚染を防ぐのに有効だ。

大学の未来像、それは誰もやらないことを研究する大学、必要だと思う。

それからコーヒーを抽出したあとの滓、これが吸収力がある。バングラディシュでは地下水を飲料としているが これにヒ素が含まれている。これをコーヒー滓は70%90%吸収できる。コーヒーの大メーカー、ネッスル本社はスイスだが、提案に行きたいと思うが、現在はコロナのパンデミックで実現していない。

【三原】元年から゛微生物活用の農業、無農薬の農業をやっている。なるべく多量に、ということで100か所で。有機農業・・いろんな計画に予算2000億円・・ところが「癒着」が発覚して予算の75%程度で中断。

全国3500程度の地方自治体が合併で半減、現在は1000強だとおもうが、それぞれの自治体で病気にならない食料の生産を目的としている。小規模のものを沢山設置していきたい。沙漠でお米ができる⇒そういう時代! 海へのゴミ プラスティックゴミ激増 2050年には海の中のプラスティックと魚と同量になるという試算も。プラスティックも元は化石燃料、石油なので、プラスティックを再利用したら産油国から買わずともエネルギー問題は解決する。そういうプラント1000か所あれば・・。費用は1兆円ですむ。メタンハイドレードよりも手軽に済む。

【牧野】私も九州大学の微生物遺伝子工学に参加しているがプラスティックを微生物で土に戻せる、ところにきている。

以下省略  動画あり