「金の器と神の器」  出口 光

皆さん、こんにちは。節分はいかがでしたか。
もともと節分は、季節の移り変るときであり立春,立夏,立秋,立冬のそれぞれ前日でした。
今は、立春(旧暦元旦)の前日の2月3日を特に節分と呼んでいます。
私は、毎年、京都の綾部で節分と立春を過ごします。

私にとって区切りの日であり新しい次元に行く決意のだと思っています。
2020年に向けてこれからの方向性を明確にし共有するためです。

それは、今の世界の器を造っている究極の2つの問題を扱うということです。
少し勇気が必要ですが一つは、人間の精神に大きな影響を与えている「神」の問題です。
二つ目は、人間の経済を支配するお「金」の問題です。これを具体的にお話ししたいと思います。

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21世紀の初頭人類存亡の危機にあるという共通認識を世界中の人々が持つようになっています。
その危機を創り出している根本的な問題が二つあると私は思っています。
一つは、人間の精神に大きな影響を与えている「神」の問題です。二つ目は、人間の経済を支配するお「金」の問題です。

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まず、「神の器」の問題です。
昨年は、G7の国々が伊勢志摩に集いました。

フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ日本、イタリア、カナダの7つの先進国です。
日本だけが一神教ではありません。
一神教の国々が、伊勢神宮に参拝したことは驚嘆に値します。
伊勢神宮ではアマテラスとトヨウケの大神を中心として多くの神々が祀られているからです。
日本は多神教の国なのです。

一神教では、神は人間と厳然とした区別があります。
神は創造主であり、人間は創造物です。人間は「神」ではないのです。
一方、日本の伝統的な思想は万物に神は宿り、役割を持ち共生しているです。
茶せん供養、人形供養、包丁供養、針供養、筆供養などがあり、それぞれに塚があります。
つまり私たちの祖先はモノにも命を感じ大切にしてきたのです。
万物にです。
このような考え方は、アニミズムと称され未開な人たちの宗教であると考えられてきました。
しかし人間が存亡の危機に立つことになったのは人間が自然と分離したから
人と人が分離したからに他なりません。
万物に命(神)を感じ、共生するという思想が21世紀の人類を救う鍵となると思います。
これは未熟な考え方ではありません。

量子力学の発達により万物の素材は同じであることが証明されつつあります。
また、万物の理論(Theory of Everything)では究極の素粒子は、振動するヒモであると言われています。
つまり、同じ素材で、それ自体が振動し命を持っているのです。
まさしくアニミズムの新たな次元での復活です。
そして、一神教が広まる以前は多神教の世界で
一神教の人々の心の奥底にはそれが存在しているはずです。

誤解しないで欲しいのは私が一神教を批判し一神教から多神教に
神の器を変えようと主張しているのではありません。

私たち、一人ひとりの心の奥底にある崇高な想いを自覚することを言っているのです。
それは皆が幸せで、活かされる社会を造ろうという想いです。
あなたの中にも、その想いがありませんか?
世界平和、戦争や差別のない世界、理想社会、地上天国など
様々な名前で呼ばれてきた「良い世の中」です。

世界中の人たちが自分や他の人たちの中に崇高な想いがあることを自覚することです。
これは人間が神的な想いを持っていることに他なりません。
そのために2020年に世界200カ国、日本千五百市町村で
志共育を実現するという中間目標を掲げて志教育プロジェクトをスタートしました。

一神教の人々も多神教の人々の中にもある共通の気高い想いがあり
それを志にまで高めて素晴らしい社会にしていこうという共育です。
この教育を通して、共に育とうということなのです。

これは教えることではなくすでにそのような想いが自分の中に、人の中にあることに触れ
それを世界の一人ひとりが自分の人生でやりがいを持って実践することです。

それが実現されていくことで世界の神の器が自然に変わっていくでしょう。
究極は自分の神的な想いに触れ万物に命の輝きを観る世界が来るのだと思います。
いわゆる宗教のない世界私たちの生活の中に神が溶け込んだ世界が来るのかもしれません。

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もう一つの問題は、「お金」ですね。

現代の金融資本主義によるお金の器の問題は大きく分けて二つです。
一つはお金が儲かるものに投資され儲からないものにはお金が回らないということです。
固有の文化や芸術は衰え危機的な環境破壊を招いているにも関わらず
環境に配慮するものはコストが高くなるので生産されず
環境はますます破壊されています。

二つ目はお金持ちがますますお金持ちになり貧富の差がどんどん開いているのです。
先日も国際NGO「オックスファム」が世界のトップ8人が保有する資産は
世界の人口の下半分の保有する資産とほぼ同じだったという報告を出しました。
投資先に実体経済の伸びよりも高い金利を求めるためにどんどん貧富の差が開いていきます。
さもなくば儲からないからです。
いまブロックチェーン技術を使ったビットコインに代表される仮想通貨が
彗星のごとく現れ銀行を不要にすると言われています。
しかしビットコインのお金を産むためには通貨取引の正当性を証明するために
複雑な計算をするマイニングという証明作業をしなければなりません。
それには500台とか11000台のサーバを使う必要があり
お金持ちしか事実上お金を産むことができません。
これまでのお金の器を変えると言われている仮想通貨が結局は
貧富の差を広げることになんら変わりはないのです。
理想のお金のシステムが必要です!

私たちはいまその新しい理想通貨に取り組んでいます。

つづく  〈出口光オフィシャルメールマガジン 〉Thu, 9 Feb 2017 08:00より)


参考:「お金の歴史」