出会いは『感動』

                大脇 準一郎 (NGO地球市民機構 副理事長)

このたびナイロビで開催された会議は、政府と民間企業・NGOとの協働会議であった。

 ケニア大統領やオディンガ首相のスピーチでもっとも印象的であったのは、「ケニア
は若い国である」こと、「青年教育に力を入れている」ことであった。15歳から30歳の
若者が総人口の7割を占めるケニアは一見、高齢国家日本にとってはうらやましい気持
ちもするが、平均年齢が48歳とか国内事情を知ればするほど、悲しい側面にも接する。
しかしその若さか来るバイタリティーには大いなる希望を感じる。

 二年前の政変で新体制を出発したキバキ政権は、今年8月に新憲法を発布し、政権の民
主化、新しい国づくりに官民合同で取り組む意気込みが感じられた。開会式にはほとん
ど全閣僚が出席し、20もある分科会には、各担当大臣、高級官僚が出席し、民間企業、
NGO代表らと活発な意見交換をした。

長年、南米諸国のNGO活動に携わった経験から、国際協力における政府と民間の協力の必
要性を痛感していた小生にとって、今回の会議は国際協力のベンチマークの会議であっ
たといえよう。アフリカに対して日本政府は数年前、国際協力を倍増する旨を発表した
が、巨額のお金でインフラを整備することも必要かもしれないが、南米で、そのお金の3
分の2はどこかに消えたり、メインテナンスの人材育成を伴わないプロジェクトがプロジェ
クト終了後には野ざらしになっている現場をいくつも見てきた。現地での継続性、現地
のニードに答える迅速性からもNGOと政府の連携は今後益々重要である。

 以前から痛感していることであるが、深井社長に同行していると目に見えない糸
でつながっているかのような不思議な出会いに遭遇する。今回ケニアでも幾度か
体験した。

 本文でも紹介されているように、深井社長は、子供たちに対する熱い思いは人一倍で
ある。後で聞いた話であるが、「今回アフリカ行きの最大の眼目はアフリカのエイズ孤
児を助ける道を探ることであった」とのこと。社長は「アフリカで長年アフリカ孤児の
世話をしている」という塩尻さんという方の名前は聞いていていても、どこに住んでい
らっしゃるのか知る術の無かった。日本へ帰国する前夜の夜にドラマは起こった。国立
競技場で大イベントに参加して、宿泊しているホテルに帰る予定だった深井氏は、バス
に乗り組んだところ、フィリピン代表団の方々がフェアウエルパーティーのあるサハリ
ホテルへ行くというので、誘われ同行した。ケニアの伝統文化のあふれる迎賓館のよう
な建物で、豪華な食事が始まり、舞台では民族舞踊を中心のエンターテインメントが始
まった。一時ホテルで休憩していた山元氏らも食事が終わる直前に駆けつけて来た。

 エンターテインメントも終わりかける頃、そろそろ帰ろうと席を立った所、出口付近
で和服姿の日本人旅行団一行が1つの円卓テーブルで食事をしているので、深井社長が話
しかかけると「大阪から来た」という。そのリーダーは山元学校の生徒で、今回のガイ
ド役、塩尻さんを紹介した。「塩尻」と聞いて、社長はびっくり、思わず「エイズ孤児
のお世話をなさっているあの塩尻さんですか?」と聞くと「そうです!」とのこと、社
長はアフリカでの最後の最後、念願の人と出会うことになった。今、川の水を飲み、電
気も無い孤児院に創生水生成器をどう設置するか、深井社長は長年の夢を実現するべく
現地とのコンタクトに余念が無い。

 出発の日の早朝7時半、ホテルで東アフリカグリーン財団理事長、カルア博士とようや
く再会でした。ナイロビ空港に出迎えてくださり、財団でお会いして以来、お互いの意
思の疎通ができず、互いにマイナス思考となり、不満を募らせ爆発寸前であった、この
日の会合で、それぞれ実務的な話し合いの場を待って努力していた事実がわかり、すべ
てのわだかまりを氷解、まさに“雨降って地固まる”で、ケニア第1のNGO団体と国際協
力の固い絆が結ばれた。それにしてもサハリーパークへも行かず、アルア博士との会議
を待っていた深井社長の誠意にカルア博士も脱帽、小生らも驚いた。

 ホテルでの朝食時、隣の席のマイアミダーデカレッジのレナハン教授にご挨拶した。
深井社長の話に感動され、「ぜひ大学で講義をしてほしい、地元の有力者等に紹介した
い。」と話は進展し、来年早々、マイアミ訪問が決まった。

 ケニヤッタ国際会議場で席を共にしたフリピンのチュア博士は長年医師会の会長をさ
れた方で、健康と水に対しての理解も人並みではない。会議の合間に大統領秘書室のド
ミンゲス女史、看護士会のベービー女史らを交えて閑談し、1月下旬にはフリピンを訪問
することが決まった。

 会議の合間、昼食時テーブルを共にしたモンゴール代表団の中にテレビ局のアナ
ウンサーも同行していて、深井社長の水の話が面白いとその日の夜、ホテルでのイ
ンタビューとなった。そこで社長は「モンゴールに創生水生成器を寄贈し、植林を
手伝った」ことを話し、「モンゴールには地下にヒマラヤの黄金の水が眠っている
のをご存知か?」と問いかけていた。

 深井社長の態度は自然態で、それでいていくら準備をしてもできないようなドラマティッ
クな出会いが次々と起こっている。いまや深井氏の夢は、日本のみならず、アジア、世
界を飛翔しつつある。 2010.12.5

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 「感動は驚き、驚きが心を震わせる。人生の成功の鍵は、一生を変える仲間との出会
い。心を震わせ、響き合う仲間は、感動の中の感動。人生を真剣に生きてきたかどうか
で決まる。感動の乏しい人生はさび淋しく孤独である。いい出会いをする人は、感動、
感激、感謝の心を大事にする人だ。」40数年来の友人、阿部博行氏;10万人の識者と名
刺交換した出会いの達人、人脈の会会長。彼の最近著「一瞬で心をつかむ」より