大脇 準一郎
承前:
哲学:愛智の学、 Logos:意味(価値)、表象、論理(科学性) カント
存在とは何か?
三つの物差し:
1、見える物と見えないもの(統一体:心情的価値的存在) 機能軸(価値観)
宗教・イデオロギー紛争⇒価値観の相克⇒科学の効用(Einstein)
経済偏重⇒東北の復興、2020「理念なきオリンピック」
世界平和への積極的国家戦略⇒物から人そして文化(教育)へ
2、 個と全体(連体)(二重目的体:家庭倫理的・社会的存在) 空間軸(世界観)
日韓関係の桎梏、国粋主義、人間性喪失、貧富の差、環境破壊、原子力の功罪
個人主義、民主主義、人権主義の終焉 トインビー
⇒全体から部分を見る、東洋の伝統(家族、医学)の再評価
比較文化論、グローバル・エデュケーションの必要性
3、 自転と公転(複合運動体:歴史的創造的存在) 時間軸(歴史観)
「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は 万物を生ず」(『道徳経』)
永遠性、sustainable development, 循環型社会 次世代の為に!
イスラエル、韓国、中国 ⇔ 日本(「時間軸が無い」山本七平)
結論:3つの物差し、複眼思考(本質と現象、全体と部分、未来と過去)で、
中庸(統一体亜剛、中和体、複合体)を見ること
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参考:宗教とは? (ITより)
* 宗教の「宗」という字を字源で引くと、主要、本源、最も尊いものとある。宗教とは平たくいうと一番大切なものは何か、それを如何に大切にするかということの教え。
* 宗教(religion)とは、人間の力や自然の力を超えた存在を中心とする観念であり、また、その観念体系にもとづく教義、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団のこと。
宗教の定義は、宗教学者の数ほどあると言われている。一般的に次の3つに集約される。
「宗教とは神(宇宙の根本)と人との関係である。」という神の観念を中心として宗教を捉える立場。(西田幾太郎)
「宗教とは、神聖感、神秘感、威厳感など、特定の心的態度によって特徴づけられたる生活態度にもとづく生活なり。」
宗教を人間の感情や体験の上に見出そうとする立場。(宇野円空)
「宗教とは、人間生活の究極的意味を明らかにし、人間問題の究極的解決に関わると人々によって信じられている営みを
中心とした文化現象であり、その営みとの関連において神観念や神聖感を伴う場合が多い。」人間の生活領域の中で宗教を捉える立場。(岸本英夫)
現世利益(病気治し、祖先の慰霊、おかげや罰や占い)、迷信や邪心に近いものが宗教として数多く存在する日本の現状は、いかにレベルの低いものかがわかる。
本来の宗教とは、「人間の霊的生命と人格の尊厳を自覚させ、己のために生きるのでなく、神と隣人のために生きる愛を生み出し、かつそれを通じて、科学技術に正しい使用目的、国家権力に正しい政治目的を与えるとともに、その目的を遂行できる人間を作り出すものでなければならない」(矢内原忠雄)
第一部 大脇氏の発言に続いて市河氏のコメント
第二部 多様な経歴の出席者からの発言によるフリーディスカッション
主な発言者
井関 利明 慶大名誉教授
大脇準一郎 未来構想フォーラム代表
市河政彦 安全まちづくり推進協議会会長
濱川 一郎 地球市民機構理事
村井 実氏 早大講師 Japan Today編集長
佐藤 敬一 元東京信用保証協会専務理事
青木 尚二郎 元三井物産アメリカ副社長
【大脇】 思えば私が未来構想戦略フォーラムを立ち上げましたのは14年前の1月23日((株)日本総合研究所本社ビル)でした。ということで今回のこの催しを1月23日と言うことに致しました。この間、日韓、日中関係を含めてアジア諸国間にも多くの問題が発生し混迷を重ねてきております。解決には新しいパラダイム、新しい知識が必要ではないでしょうか。
では、本日のコーディネーターをお願いしております慶応義塾名誉教授井関利明氏を御紹介いた します。
【井関】 未来志向で活発な御発言に期待しております。私は一方向でお話しするのは実りがないと思います。新しい知識が開くのは講義ではなく対話からです。途中でも質問があれば積極的に発言してください。では大脇さん どうぞ
【大脇】 73歳になりました。この年になりますと若いときには見えなかったもの、人生経験から気がついたものがかなりあり、それを踏まえて提案をしたいと思います。若いころから哲学に関心を持ちました。
A哲学的見解では現象的なものと普遍的なものの二分法で考えます。
B哲学の本義は「愛智」でして、またロゴスの学とも言われています。ロゴスつまり言葉ですが、言葉とは何か、がまず確定させる必要がありましょう。言葉の属性としては①表象 ②意味 ③厳密性の三者でしょうか。また③の厳密性は言語のルールです。ルールがなければ想いは通じません。
Cまた、哲学は何をなすべきか、も対象とします。何をなすべきかは価値の側面を持っていま
Dさらに存在とは何か、も重要な哲学の課題です。存在とは何のことか、見えるものと見えないものの二面性を持っています。ギリシャ哲学では形相と質料でこれを表現しました。東洋では「色心不二」でこの二面性に触れています。この二面性を人間に当てはめれば、心と身体といえましょうか。
ここで歴史を振り返ってみれば宗教とイデオロギーは多くの紛争を作ってきました。狂信的、独善的な思い込みがこの争いの原点にありました。価値判断のない行動は悲劇を生みます。
現在は経済に重心が偏りすぎているように危惧しています。金銭的な判断だけではなく、利他の心による行動が少なくなってはいないでしょうか。
最近、「理念なきオリンピック」ということを聞きました。会場の建設は則ち⇒利権化し、オリンピック精神よりも勝敗、メダル獲得数を国家単位で競い合うことだけがクローズアップされています。世界平和へ貢献する精神は輝きを失いつつあります。
哲学の問題に戻ります。西洋では思索と行動が個物に集中してきました。個物と全体(=連体)、としての思索が陰におかれました。科学技術の進歩で物質的な近代化は急速に進みましたが、その反面、全体とのバランスが忘れられてきました。
個物の利便性の追求の急なるあまり、環境破壊が進み、20世紀後半は公害の時代でした。
哲学の重要な課題としてD存在 を上げました。Dでは認識の二面性に触れました。存在は、個物と全体の関係からも考察する必要があります。この観点を欠くと「人間関係」「個人と社会の関係」が隠れてしまいます。
トインビーはエゴイズムについて二種類のエゴイズムがあるとしています。個人のエゴイズムと集団的エゴイズミです。集団的エゴイズムの方がよろしくないとしています。
私は米国の大学で博士論文に比較文化論をテーマとしましたが、個物と全体を見る視点に東西に差異があるように思います。
山本七平氏は「日本人には時間軸がない。空間的平行移動には長けている」と。創造性はないが、外国の文化技術などをただちに自己のものとできる。つまりはモノマネ上手と評していました。
以上を纏めると、判断の基準としては Ⅰ、見える物と見えに無いもの(価値軸) Ⅱ、個と全体(空間軸) Ⅲ、時間軸(過去と未来)の三者を前提とするべきだろうと思います。そして二者の複眼的に捉え3数の中庸としては把握することが重要と思われます。
【井関】個人は何ができるのか 何をなすべきか、対話の場として語り合いたいものです。対話の場で価値観が一つか二つか、では西洋の歴史にある二分法になります。二つだと優劣が見え勝敗となり敗者は消えていき一元論になります。大脇氏は価値観の基準としてⅠ価値軸として形相か質料か Ⅱ個と全体 (空間軸)Ⅲ時間軸か の三者を提示してくれました。その三者は「対概念」です。対象を要素に分解する、見えないものについては概念を先行させて現象を認識するなどと。大脇氏は「言葉」の重要性を強調しました。言葉があるからこそ存在を認識できるのだ、と。
さて私たちは、国、地域、企業、個人間のレベルで何ができるか考えて行きましょう。
二元論には黒白 正邪のようなことしか扱えないという限界があります。判断の基準に三つ目があれば、二つの間の勝敗よりも第三の道を選ぶと言う選択肢があります。私は英国のブレア首相が第三の道を選ぶと聞きました。彼の試みは成功していませんが彼の選択を評価しています。
【市河】皆さんにお配りしている資料に私の略歴が入っています。
私は昭和5年に生まれました。戦時中海軍少年飛行兵の養成のための「予科練」に合格、敗戦の年(15歳)、霞ヶ浦に居りました。8月15日敗戦で故郷長崎に帰ると原爆で市街は廃墟。私は旧師旧友を訪ね歩いて被曝しました。私は被爆者として被爆者手帳を持っています。
戦後の廃墟の長崎、私は旧制中学新制高校の最初の生徒として夜間部に学びました。昭和24年上京明治大学に入学しました。家からの仕送りはなく後楽園野球場でのアイスキャンデー売りのアルバイトで生活費と学費を稼ぎました。25歳で戸田城聖会長の話を聞き創価学会に入会しました。
大脇さんとの出会いは一色さんの紹介でした。大脇さんと私の共通点は、若くして宗教に一生を捧げると決心したところでした。大脇さんは早稲田大学在学中であり私は創価学会に入会したのは25歳でした。それ以後私は創価の生命哲学を実践してきました。
私はこのビルのオーナーです。この程度のビルのオーナーでは成功とはいえないでしょうし人様にはお話しすることでもありませんが、この程度のビルを約40持っています。家賃収入年間約5億円。私は人生はマラソンのようなものと思います。スタートでは差がついてなくて一団となっていますが、高齢者となり人生のゴールに近づくと格差社会になっています。13年前ですが、私は「牧口価値論Ⅰ」を出版しました。最近私の前に続巻を出せという人が現れまして、そのタイトルを「創価の生命哲学、 ためして実証 人生勝利劇」としてはどうかと言います。創価の生命哲学の普及は意義あることと思います。佐藤優氏は創価学会が世界宗教になる可能性を論じています。
先月8日 完全なる韓国系金融機関が私に10億円融資してくれました。三井住友5億円、りそな5億円の肩代わりに応じてくれました。この融資の肩代わりのおかげで利子支払額は毎月200万円少なくなりました。年間2400万円の利益です。
本日の会も大脇さんから会場を貸してもらいたいと言うので応じました。会場費として一万円程度は頂けると思いますが会場費は頂くつもりはありません。大脇さんは費用も不足するので援助を申し込まれ12万円負担しました。だから私は主催者だと言いたいのですが・・会場一同笑い・・
大脇さんには結果が出ていないようですね。創価思想は経済も重点視しています。私が創価学会に入った動機は、生命とは何かを追求するのが仏教だということに感銘を受けたからです。
今朝の聖教新聞ではインドの大學が創価学会インターナショナル池田会長に名誉博士号が贈られたと報じています。平成14年池田会長には348の名誉博士号 23か国の国家勲章が送られています。日本は仏教、儒教が外国から入ってきました。思想、哲学は外国から、という時代は池田SGIの海外での拡大で転換点を迎えたと言っていいでしょう。池田会長への名誉博士号授与第一号は、何と共産主義のモスコー大学でした。しかも毎月10件程度のペースで増え続けています。韓国でも創価学会の会員は150万人です。
さて、大脇さんの資料の最後に「宗教」とは本源的、大切なものとあります。英語のreligionを西周(ニシ アマネ)が宗教と訳したことは皆さんもご存じでしょう。Religionは神と人間の結合を意味します。私の持論は名体宗用教の五文字から抜き出して「宗教」としたと思います。名体宗用教=妙法蓮華経とされています。
創価哲学では、生命と生物は別と認識しています。動物と植物が生物で遺伝で次世代を再生していくと定義されています。これに対して、生命は森羅万象の発動性と見ます。妙法の妙は休止の状態であり法は活動を表わします。髪の毛は自然に伸びます。伸ばそうと思っても伸びませんね。同じことが自然界にも人間社会にもあります。意図的に変化を作りえない現象に満ちています。これが自発性で、生命そのものです。
私はキリスト教だからと排撃する意図はありません。この世、我々人間は神がつくったとキリスト教では言います。そういう説明で解決されたとして収まった時代もありました。しかし知識の増加と精密さが、キリスト教の造物主物語の非合理性を指摘する時代を招きました。近代合理主義はキリスト教の物語の筋書きを逆転したのです。「神を作ったのは我々人間である」日本での逆転物語は明治維新に政府の音頭取りでなされた「廃仏毀釈」でしょう。各宗派のお寺は江戸時代には行政相元締めとしての徳川幕閣の末端の出先行政窓口として人別帳を作成、檀家を取り締まってきました。権力と財政を幕閣から保証されたお寺は太平楽の日々を過ごし、万人の救済なとどは無縁の組織となりました。明治維新による痛撃で日本の在来的仏教宗派は打撃を受けました。(参考:『明治維新という過ち』原田伊織著)
敗戦による政教分離によりお寺の多数が財政的な危機に見舞われています。が、ひとり、創価学会は発展の一途をたどっています。説得力のない宗教は物語に過ぎません。我々は理論だけでは解決できない多数の問題を抱えています。お互いに勉強して行こうではありませんか。
【井関】市河会長の発言に、圧倒されました。
宗教という用語は中国渡来のものではなく日本人による造語でしたか。ちなみに中国では宗教のことはなんと言うのでしょうか。宗教現象を中国ではなんというのか、面白いことですね。
【市河】自分の中に「仏界」があり、この「仏界」が価値の創造力です。この価値の創造力があるからこそ、危機を乗り越えることができます。端的に言えば変毒以薬です。苦難を幸福に作り替えるのです。
【井関】わかっているようで、わかっていない・・・・・?
【市河】私は破産させられましたが、その破産を契機に事業を拡大して今日に至っています。
【井関】どうですか。 大脇さんは結果が出ていないようですが・・・・
【大脇】キリストは最悪の状態で死を迎えました。最悪の状態でも人を許す愛を持ち続けていました。戦争で戦う場でもキリストの名においての敵味方を越えた愛がありました。貧困であっても精神が輝くのです。価値とは何かも、目的がないと価値を語ることはできないのではないでしょうか。
【市河】価値は変化します。「仏界ばかりは現じ難し」これは時代により状況により表れ方が変化することを言います。二宮金次郎の銅像のように本を見ながら道を歩くと「危ないではないか、交通違反だ、罰金だ、逮捕する」「私は銅像にされるような立派な金次郎の真似をして勉強しているのだ。何が悪いのか」と言って反論しても受け付けてもらえません。価値は場合により変化します。固定化すれば原理主義でしょう。
【大脇】確かに価値は変動します。それは物質と経済の場で変化します。それに対して精神的な場では永遠の価値不変の価値があるといえます。精神的価値と物質的、純粋価値と具体的価値の区別と統一が必要と思います。
【井関】現実的な中身はなんでしょうね。状況と場面で価値は変化するとしても・・・
【市河】ノーベル賞学者が小学生に受賞研究の物理学を教えたらどうなりますか。小学生は分からなくなり不登校が増えます。ノーベル賞学者は、自分は真理を教えた、間違えたことは教えてないからこれでいいのだ、と弁解しても笑われるだけでしょう・・会場一同笑い・・
【井関】市河さんの説明はかなり抽象度が高いようです。キリスト教は人と人との関係に愛という概念を設定し、すこしでもこの社会をよいものにしようとし、一方で市河さんは、生きとし生けるものすべてに対しての包摂的な原則からの発言のようです・・・・・
【市河】ヘリコプターは宙に浮いていますね。浮いているためにはエネルギーを消費しているからです。経済成長、豊かな毎日、でも夫婦共働き、一家は忙しい。ヘリコプターがエネルギーを消費して浮いているように、経済成長した現在の生活レベルを維持するには大量のエネルギーが必要なんですよ。
文化と文明は混同して使う人も居ますが、私は文化は価値創造力、文明は利便性として考えています。
昔は私の郷里である長崎までは一か月もかかりました。利便性は向上しましたが、余裕ができたでしょうか。時間に追われてみんなイライラしているように見えます。利便性の向上は幸福の増進にどれだけ寄与したでしょうか。あらゆる民族を超えて共通の尺度となる価値観、世界観がないのです。それは生命とは何かについての迷いがあるからです。
【大脇】生きる意志、とは何かについて考えました。私は16歳の時大病で絶望感に襲われました。そのとき、気が付いたことがあります。生きようとする足掻きの前に死が登場した、私は生きようとして生きているのではなく、何者かに行かされているのだ、と気が付きました。この心の変化が私を生の世界へ連れ戻してくれました。宗教についての深い考察、必要なことと思います。生命を「単なる生きようとする意志」と捉えれば弱肉強食の修羅場になるかショウペンアウエルやニーチェのようなニヒリズム、厭世観に陥ってしまいます。
【市河】愛と慈悲 我々は慈悲に愛が包摂されていると見ています。
【井関】議論を具体的なレベルに戻したいと思います。価値とは何を意味するか、ビジネスの場でも価値という言葉を多用しています。価値という言葉は多義的です。人により、場合により、それぞれが「自分で定義した価値」を使います。
「神」と「仏」と「宗教」は議論からは切り離して行こうではありませんか。価値という言葉には価値がないと思うんです ・・・・会場一同笑い・・・・・
【市河】明治維新による影響に廃仏毀釈があります。それまでの主導的な仏教から神道へと方向転換を薩長主導で断行しました。日清・日露の戦いに勝ちました。その勢いで太平洋戦争では武力により神道を世界へ広げようとしました。この戦争はキリスト教と日本の神道の戦いであったと見ています。神道は敗北しました。神道は山の神川の神などと原始的宗教であるアニミズムでしかありません。
アニミズムの語源はアニマルです。自然崇拝の原始的宗教を世界宗教にできるわけはありません。そういう反省のないままに70年がたった現在、安倍晋三氏のような首相が登場しましたが、彼は戦前に復活させたいのでしょうか???? (参考:『明治維新という過ち』原田伊織著)
【大脇】明治維新の問題性については我々も一応考えています。
【市河】物理学者の存在もどう評価するか、も問題ですね。私も大学で理系か文系かに迷いました。科学者は金持ちに雇われているではないかと気が付いたので、科学者になるよりも金持ちになろうと・・・会場一同笑い・・・話を戻して理性も両面がありますね。理性で得たものを悪い方に使う場合がしばしばあります。
凶悪な人食いライオンも人間十人も喰うことはないでしょう。人間はどうですか・・・・会場一同笑い・・・・・
【井関】最近ではこういうことになっています。感性 理性 知性 の三者で現状の改革にもっとも有効に機能するのは知性である、と。感性は性格的なもので五感という制約のもとにあり、状況の認識に際して限界があります、理性は論理的、合理的に思考するには有効なツールです。ただ目的を意識するときには、目的には価値判断が伴い、その価値判断は他者との利害の衝突が不可避であるという前提がありますので、この前提を理性は超えられません。知性は「個人と個人との利害の衝突」「個人と集団」「集団と集団」「人と自然環境」それぞれの立場からの判断を総合的に処理することができます。
価値が多様化し、経済主体の各々が強い発言のできる現在、紛争よりも調和へ向けてのツールとしては知性の活用が必要だと言われています。
対立は知性を磨くことを第一ステップとしていけるのではないでしょうか。大脇さん、市河さんの知性とは何かについて語った頂きたいものです。大脇さんはキリスト教としては、人間の集団内部と神と人間、市河さんは生きとし生ける総てを対象としての立場でしょうか。
【市河】生命とは何かについて創価哲学としては広大な理論を持っています。
【井関】日本人は生き物ではなく単なる物にも感情をこめて接する風習があります。勝手に動いて掃除をしてくれる掃除機、例えばタローと人名を名付けて、「今日はタローがよく動いたな」などと話して癒されていますね。このような日本的感覚、また仏教的感覚は世界にはありません。大脇さんも英語力で世界に発信してくださいよ。
【濱川】市河さんが築いた身に見える結果としての財、そのおかげで本日の会場を準備して頂きました。今日の会合は、大脇さんの志と市河さんの財とが出会ったことによってなったという得るのでないでしょうか?
【市河】世界日報は、私の業績について紹介して頂いています。
私は破産しました。平成17年、破産に際して23億7千万円とられました。このときは市河政彦を無一文にして再起不能にしてやると政府関係者から宣言されて破産裁判が始まったのです。私の会社、総建は破産させられましたが、私は総建とは別に10社持っていました。彼らは、その10社は総建の子会社だと思い、全滅させようとかかってきたのですが、10社は総建から独立の経営形態でした。したがって総建自体は破産させられたのですが、10社は残りました。23億7千万円とられた破産者市河政彦は破産を契機に事業を拡大し現在に至っています。破産のおかげで私の次世代たちはには相続税の心配がなくなりました。23億7千万円は相続税の前払いだったんですね ・・会場一同笑い・・・
法律は債権者に肩入れしていすが、債権者と債務者は平等に見なければならないと思います。借る側があるからこそ貸しているのでしょう。中小企業も資金繰りで大変な時代です。私は公明新聞の論説委員をしたことで、おカネとお札の違いがわかるようになりました。お札は日銀が発行しています。そのお札の半分くらいが銀行に預金されているのかと思っていました。日銀券の発行高とマネーストック(マネーサプライ)を比較したら、お札の10~20倍の預金があるではありませんか。銀行に融資してもらうということは、銀行が当座預金口座をつくり、その口座の残高に融資金額を記入することです。お札は全然ないままに融資金額が創られます。銀行言葉では融資は信用供与、略して「与信」というのは、こういう理由からです。当座預金口座に数字で記入した、その数字がおカネなのです。論説委員ですから責任をもって執筆するには知識が必要でした。
【井関】論点が金融と経済になりましたね。市河さんのいまのお話は経済学では貨幣論として研究されています。歴史を辿れば貨幣も貝殻に始まり、今の今は、貨幣、おカネはデジタル化した記号になってしまったのです。
【 】観念的な論議ですね。縄文時代は原始人がボロを纏う時代と思われていたのが豊かな生活をしていたとしていたとわかったそうです。豊かな縄文時代が一万年も続いていたんです。過去は国土も豊かでした。
【井関】豊かな自然とコミュニティですか。今とは人口規模が違いますね。人口が増えると対立が起きます。年金のこともあり、誤解されるかも知れませんが、日本の人口は6千万人程度で、お互いにナアナアと言いながら暮らすのも悪くはないように思います。
【大脇】市河さんが主宰している「都市開発もみんなでやる」という運動は良いですね。東京都がスマートシティ構想を打ち立てています。土地もエネルギーも共有できれば無駄がなくなりますね。
世界の4分の3は海です。海の生物によるタンパク質、資源が豊富にあります。!
【井関】大脇さん、それは深海の生態系に大きな打撃を与えかねません。「自然」を使い切っては良くないと思いますが・・・。
【大脇】海洋牧場で再生産可能なシステムを考えています。
【井関】それも人間としての立場でしょう。欧米の一神教という前提には、この世には埋めきれてない部分が多々あります。仏教は、一神教でカバーできない箇所を埋めて行けるのではないでしょうか。日本の仏教に、それを期待します。
【濱川】井関先生がおっしゃったように「仏教」ではなく特に「日本の仏教」ですね?
【井関】日本の力を日本人が語るのではなく、外人が日本の力を語る、そういう方向に向けたいですね。
総ては変化する。これだけが不変の真理、ということはいかがなものでしょうか。変容という概念をもつことが必要です。
【青木】私は80歳ですが人生には分からないことが多々あります。自然と共生してみんなでおカネを作るというのも楽しいですね。さて、この自然は人間を含めて誰が作ったのか、宗教が複数あり、神が何人もいたら我々は存在を全うできないでしょう。73億人いますが、ユダヤ教にルーツを持つキリスト教信者が55%つまり半数以上の40億人います。宗教のなんたるかについて考えても現実と理論は違いますね。サイエンスについてみれば石油化学工業で大発展した反面、生命といいましょうかバクテリアの関係の研究が遅れました。株の世界も株価の上昇を期待していますが、株は持合いが多く株価の上昇と企業の・・・
【井関】マネーそのものがデジタル化していますからね。
【青木】世界全体が奇妙なことになりつつあるようです。米国に17年おりましたが、米国では「こんな災害は始めてだ」という災害が続いています。創造主の意思に反するようなことですかね。73億人もいると73億の価値判断があるわけで結論は難しいようです。未来も過去もバーチャルで、「生きている」ことだけが今という現実と思います。その現在の税収が50兆円、必要な経費に100兆円というのも納得できませんね。アベノミクスは、こういう現状打開の糸口になりません。インチキノミクスとも言いたい。
金融緩和と言っても、地方銀行の金庫にある国債を買うのみですからね。
【井関】福沢諭吉は「天は人の上に人を作らず」と「神」と「仏」を外して「天」を使いました。「宗教」「神」「天」が出てきますとその先は言わない、ということにしないと・・
個人レベルで楽しく・・健康で ・・行きましょうか。
それから「絶対」と「決定的」という言葉も避けたいと思います。この用語は議論のやり取りよりも「脅し」で議論不要を意味します。今まで発言されていない方もいるので話をもとに戻しましょう。
縄文時代、豊かであったでしょうか? 自己納得の形式です。その型式は人それぞれです。
【村井】私は毎日新聞の記者として歴代米国大統領を取材しました。世界は良くも悪くも米国を中心に回っています。人間の三欲、性欲で子孫を増やす、食欲で自分の命を維持する、に加えて権力欲があります。
宗教は十人十色、個人的に考えはみな違う。宗教と民族のある限り戦争はなくなりません。民族があれば民族闘争、宗教があれば権力闘争が始まります。
私の家は浄土真宗でお経の一部は覚えていますが意味は分かりません。日本の仏教のお経よりも浪花節のほうがわかりやすいのです。仏教も改革をしないと進化しない。仏教は存続の危機に直面しています。ポツダム宣言は日本が命乞いをした結果の物です。現在の首相はそれを読んでいないと公言する。外人記者は「そんな人間を首相にするとは・・」と日本を批判しています。敗戦を終戦というのも日本だけで、外国には終戦という表現は通用しません。外国に日本はどう受け止められているかを知る必要があります。
【大脇】権力ではなく権威という概念からも見る必要があります。
【井関】それも説明するに当たっての一つの要素ですね。
【村井】野党にもしっかりしてもらわないと。自民は1月4日にすでに一選挙区以外にすべて候補を決定しています。
【佐藤】日本人は真面目です。昭和20年8月15日、そのとき133都市は焼け野が原でした。それから70年。最初の10年は我慢してやがて経済高度成長を果たして、1500兆円の資産を築いて来たのですが・・。今は税収50兆にみたない、そこへ100兆円の支出です。中小企業ですと貸してくれというと担保がないと貸してもらえない。
1万5300社の会社が倒産、その負債総額1兆円。でも銀行は貸出をしませんでした。そこで私は、ある提言を決意しました。「信用保証協会が100%補償するので銀行融資ができるようにする」と提言書を二か月半かかって作成し、自民党の実力者深谷隆司議員に届けました。返事はない。私は夕方六時深谷事務所に電話したら秘書が「先生は忙しい。見ている時間がない」とのこと。私は「バカヤロー」と言って 電話を切りました。そのやりとりの二日間に年商4億~5億の会社が6社潰れた !
ある朝家内が「テレビを見なさい!」と私に叫ぶ。家内は群馬県出身。見たら小渕総理が保障の枠に20兆円の枠を設定したとのニュース。深谷に送った提案が実現! 東京の保証協会、アサヒ信用金庫、これは深谷と関係あり、準備しろと。認定書つけて、1か月で1万5000社に保証しました。結果として不渡りは激減しました。全国で保証を受けたのは127万社でした。20兆円+10兆円の保証をしたのですが、30兆円のうち4割程度がデフォルト化すると予測されたのですが、潰れたのはたったの6000社、5.7%でした ! 皆さん これが日本人なのです。
今は もっとひどい。デフレとは経済の縮小なのです。会社は経費節減のために人員整理をします。社員は失業して収入がなくなる。毎月の生活費を切り詰める。こういう縮小が15年間続いているのです。平成10年、640万社の中小企業、それが一昨年、平成26年には、存続していたのはなんと385万社、255万社が潰えたのです。その255万社の従業員、当然ながら失業です。再就職は厳しい、たとえ再就職しても月収は激減しています。
世界で15年、デフレの続いた国はない。我慢できるのは世界では5年が限界なのです。5年を越えたら暴動が起きる、それが世界なのです。それが日本は15年続いています。70年前の昭和天皇は「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ」と言いましたが、日本人は今もず~ッと耐えて、耐えています。
政治家は不勉強です。役人も勉強不足です。実情が分っていない、それに加え、いかなる対策を打つかもわかっていない。
亀井金融相の決断で、100%保証でしたが、それが80%保証と削ってきました。「20%は信用でやれ」ということになりました。信用で貸しまくったからバブルになったのだ。信用で???
皆さん、日本経済は緊急輸血が必要なときですッ。でも政治家役人には分かっていない。トップに座っている人間がダメなんです。20%の信用、100%の保証が80%の保証になったので流れるおカネは激減しました。20%減っただけしゃないのです。トップは分かろうともしない。さらに悪いことには、緊急輸血しようにも輸血する血液が乏しくなっている。
日本人は真面目の上にバカがつくのです。税率を上げたら税収が増える?冗談ではない。税率を上げても税金を払うおカネが中小企業には入ってくる状態ではないのです。日本の将来の為にもっと働いてもらい、そのように働ける経済に持っていかねばならないのです。・・・・
【市河】佐藤さん、私と一緒に亀井大臣に提出したものがこれです。(市河氏、佐藤氏にコピーを渡す)
【佐藤】市河さん、デフレに入ってから15年以上、あのときよりも現状はさらに悪化しています。亀井大臣はやってくれましたが・・・・・
【市河】失われた20年。どうして、こんな状態が20年も続いていると思いますか・
バブル期に張り切っていた人達のやる気を竹中平蔵が潰したからです。不良債権処理だという口実でやる気のある人たちを潰したんです。それが失われた20年の原因です。
【佐藤】金融機関から流す経済の血液、流れるおカネを止めたら日本経済は死んでしまう。
三菱が1000億の不良債権を中坊に 30億で売った! ! 中坊はその30億を何倍にしたかは?????
いい会社を倒産させたのは政府です。日本人くらい我慢する民族は世界にはありません。
「政府のやり方が違う」と、一緒に大きな声で! (文責:武内)