行き詰まりに至った現代明の救済をアジアから
 パラダイムの大転換・融合、そして恒久平和の実現へ

 今から 100年前の20世紀初頭、文明論者達が現代文明の未来を予告し、警告した。
今や、その状況は世界中の各所で見られ人類は進退錐谷のならない十字路に立っている。
 文明の存続の道が試みられているが、その方策は一時的な急場しのぎの対処療法すぎない。
問題の本質は、近代文明の基層となっている西欧文明のパラダイムにあるからだ。
その原動力であったグレコ・ローマン、ジュデオ・クリスチャニティーは輝かしい文明的貢献を
果たした反面、数多くのアポリアももたらしている。それは「存在とは個物である」とする西欧の
文明の常識を疑うことから始まる。現代文明の便利さ、快適さや、スピードに圧倒されながらも、
伝統文明を守ってきた我々は、自信を喪失し、委縮しているのが偽らざる現状である。
 北東アジアの日・韓・中の3国は、個よりは全体を優先し、長年、忠孝烈を美徳とし、誇りとて
来た。それは「個も大切であるが、関係性(縁)こそ存在にとってより大切である」とする伝統である。
今や行き詰まり至った西欧文明も、命を失い形骸化しつつある東洋文明も、存在様相のもう一つの
側面を包摂し、存在そのものの元点に立ち帰り、永続する文明を解産することである。

 このことの顕著な事例として、今回、医療を取り上げる。
小林常雄氏は、山中教授(弟弟子)、本庶教授(兄弟子)と早石門下の医師で、自然治癒能力を
高める新しい融合医療を志向している。小林氏は、最近著『がんの正体がわかった!』の中で、
「がんを敵視し撲滅しようとする西欧医学は、抗がん剤、放射線治療の副作用で自然免疫性を下げ、
治る患者まで死に追いやっている。癌は、ミトコンドリアが人間の不自然な生活習慣について行けず、
異常な現象を現しているに過ぎない。 社会の不条理について行けず、落ちこぼれになった不良青年
を排除せずに、更生させる道を拓いたように、癌も生活習慣を変えることにより、正常細胞に戻るのだ。
」と述べている。

 これと類似する事例は、価値観の相克の泥沼にある紛争、いじめや落ちこぼれの教育、安全性を
度外視した原子力の現場、コストを下げる為に化学肥料を使った農業等、枚挙に暇がない。
 今後、色々な現場での事例を取り上げながら、新しい観点からニューパラダイム構築し、解決の道を
皆様と共に探って行ききたいと思う。
 その新しい視点とは、
1に、個から全体へ(自由・民主主義)や、全体から個へ(社会主義、共産主義、
全体主義)でもなく、第三の道、個と全体の二重性(存在様相の空間的側面)に気が付くこと、
、第2に、目に見える物質性と、目には見えないが形のある精神性(情・知・意等)の2重性(存在様相
の価値・機能的側面)に気が付くこと、
、第3に、過去(復古調・保守)か、未来(前進・革新・進歩)かではなく、今に過去と現在を融合すること
(永遠の今)の二重性(存在様相の運動性)に気づくことある。
  言い換えれば、個か全体か、物か精神か、過去か未来かの2分法(科学)から、これらすべては、
同一存在(唯一)の両側面(二重性)であり、これを三つの視点(空間・機能・時間軸)から見たものに
すぎないという、極めて単純な、ありのままの存在の実相(原理;唯一二性論)に気づくことである。
ただここで一つ留意すべきことは、前者が後者に優先されるべきであるという宇宙の秩序原則である。
 すなわち全体(皆)、心(真善美。愛)、未来が主導的役割を担い、個や全体、過去は受動的役割
を担うという役割の違いがあるということある。
 本然の元点に立ち返ることにより、初めて無限性、絶対性、永遠性への人間としての尊厳性を悟り、
桃源郷を楽しむことができる。すべては、意識革命(パラダイム転換・存在論革命)、人間革命(変貌)
からは始まると言えよう。

   2020.2.11 起草
  NPO法人 未来構想戦略フォーラム/地球市民機構行共同代表  
                                   大脇準一郎(Th. D)