「
「経済至上主義、対象療法、島国根性を超えて」
野田氏が新首相として決まった時のインタビュー第1声が経済状況に対する
コメントであったのにはがっかりしました。日本のリーダーは小泉首相を含め戦
後体制から脱却していないこと露呈しています。戦後の荒廃から経済復興は至
上の課題で、池田首相の所得倍増論の時代まではそれでもよかったのかも知れ
ませんが、その後の国の基本(教育・防衛等)を確立することを先送りして経済
至上主義政策を惰性的につづけたせいで、いま日本は経済のパラダイムに金
縛りにあって国の衰退を座して待つ以外にない状況です。経済は人間生活の一
部で人の幸せ、平和の実現の手段です。国においても文化、政治等総合分野の
中の1つに過ぎません。全体的視野が欠落しています。
野田氏の第2声は福島原発についてのコメントでした。これもまた一国のリー
ダーとしては失格、目先の対象療法的作業人のような回答でした。長期的視野
から日本のエネルギー政策、原発政策をどうするのか?これこそ国家指導者が
取り組むべき至上課題ではないでしょうか? 今回ウラン固定燃料に代わるト
リュウム液体燃料による安全原発に関するフォーラムも国に長期的視野で取り
組んでもらうための一石を投じるためです。
国会審議はNHKのテレビ中継も終日放映されたいます。一日会議を延期する
だけで億の金が飛んでしまいます。「国にとって今、何が最も大差つか?」国民
が知る最適の機会であるにかかわらず、党利党略派閥抗争でいっこうに本題
が見えません。「世界の中で日本はどうあるべきか?世界の中での日本の役割」
こそ与・野党を超えて堂々議論すべきであると思われるのにいっこうにその兆し
が見られません。
このような折、政策情報学会を立ち上げられた慶応大学の某教授が賛同してく
ださり、10月4日午後政策構想フォーラム(仮称、ネット上を見るとすでに同名の
会合は存在しています)を定期的に開催し、総合的、長期的、世界的視野から
政策提言をおこなう準備をすすめています。既存の立派な機関がいくつもある
のになぜ今新たに必要なのか? 経済中心、目先の対象療法、国益中心主義
の枠組みを超えることができない陳腐なものに終わっているためです。
何の為の復興支援集会なのか?
先月8月6日「復興支援集会」が被災地仙台市でありました。数日前に出展する
会社の依頼を受け、被災地で活動している企業に呼び掛けた所、急な呼びか
けにもかかわらず、3社が応じてくれ、合計10社が出展しました。ところが司会者
から展示会場の案内があったにも関わらず、途中で帰る人も展示会場に立ちよ
らず、4時間半の集会の休憩時間はわずかの15分、小生は自発的に幾人かの
市長さんを展示会場に直接ご案内しましたら、大変感動してくださいました。
今回出展している企業は、いずれも自社ならではの専門的技術を持って被災地
を支援しています。多忙な活動時間を割いて出展したのにほとんど来客が無い。
小生は集会の最後僅か質問時間に矢も楯もたまらず、「壇上の講師の先生方を
含め、聴衆の皆様、ぜひ展示会場をお立ち寄りください」と緊急動議を致しました。
少しは出展会社の皆様にご満足をいただけたかと思いますが、期待はずれで
途中帰ってしまった企業もいました。「復興支援集会」と題した被災地での集会、
文字通りの趣旨なら集会の運営にもっと工夫があってもよいのではないか?
休憩時間をもっととるとか、31もの市町村長に1人3分づつ話させても1時間半
以上、最初からフロアーを巻き込んだパネルディスカッションにした方が良かった
のではないか?また担当大臣や林野庁長官を始め、お偉方が次々にスピーチ
されたも終わるとすぐトンボかえり。話はテレビで聞くのと大差なく、民主党、政府
主導と言う割には官僚以上の上意下達、民衆と目線の違いが際立っていました。
プロジェクト成功の三要因
小生は昨年8月、まったく同じ時期、プロジェクトをお手伝いし、予算が零の出発
でありながら、半年で5000万円相当の国際会議を20分の1以下の経費でこ
なし、感動的な出会いも数々、大成功裡に終えることができました。その成功
の秘訣は第1に命ある中心人物の存在(命の無い種にいくら肥料を与えても、
無精卵を温めても無意味)、
第2に多くの人々の共感を呼べるビジョンの創造、
第3にこの大義の旗印の下に人々のネットワークをはかることであるとの確信
を得ました。国や企業においても同じことが言えると思います。今回の集会で
は市町村長の真摯な訴えが印象的でした。しかし、人々がやる気を起こし、心
を束ねるという点では落第であった。主催者側にそのことを話すと「目的は政
府への政策提言」との返事で唖然としました。提言に民間企業、現場の知恵と
努力が欠落していないことを願う次第です。
プロジェクト成功の要因の中でも中心人物の私心の無さが最も重要と思われま
す。人のことはよくわかっても自分のことはなかなか見抜けないものです。自
己の虚栄心、自己満足の為に一生懸命やっている人も時折見受けますが、砂上
の楼閣のように危ういものです。
「色即是空、空即是色」の意味
「東北の農業・林業・水産業復興支援集会」の懇親会が終わり後始末をしてい
ざ帰ろうとした所、事務局においていた小生のショルダーバックが見当たりま
せん。現金、通帳、クエジットカード、免許証等、なかでも7千人を超すザウルス
電子手帳がもっとも大切なものでした。スタッフの人々がチェックしてくださいまし
たが出てきません。当初、仙台に一泊し何人かの友人に会って翌日帰京する
予定でしたが、すべてキャンセルせざるをえませんでした。仙台の交番に喪失
届を出し、お金もないので東京に帰るスタッフの車に乗せていただくことになり
ました。車中この意味をどう捉えるべきか沈思黙考しました。
すると展示会場で事務所に最も近い展示をしていたグループのことが頭に浮か
んで来た。万が一と思って夜の11時近くであったが電話するとその会社社長は
帰京の途中、休憩所で車を留め知らせてくれた。おそらくだめだろうと思いきや
「あった!」社長は少し先の休憩所で待っていて下さり、バックを受け取った
のは午前2時過ぎであった。かばんにはマンションの鍵も入っていたので、お蔭
で午前4時半には事務所に戻ることができた。
16歳の3月18日朝、命を一旦あきらめた時、病気が治る奇跡が起こった。『色
即是空、空即是色』の深奥な境地を体験した。かつては命であり、今もっとも
大切なものはこのショルダーバックである。1時的にでもこれを取り上げられ
た時、震災ですべてを失って復興に取り組む被災地の人々のことが思い起こさ
れ、最悪を覚悟していたので感動は一入(ひとしお)であった。まさに『色即
是空、空即是色』、魂が浄化されるような出来事であった。
私の新たな決意
52年前、16歳の時天命の探求を始め、4年後20歳で天命を知り、その後48年間
68歳の今日まで完全投入してきた。今もう一度天と焦点を合わせることを問わ
れているように思われる。郷里鳥取で農林・水産省からも注目されている田中
農場、依然開拓期のある米国、友邦国、韓国、子女達はそこでたくましく生き
ている。小生にも色々選択肢はありますが、せっかく築かれている人脈を生か
して東京を拠点に「世界のための日本」再生」の仕事に賭けようとしている
最中の出来ごとでした。小生はすべてを投げ出してどこでも行けるフリーハンド
を持って天の声に答えたいと思っている。おそらくこれが人生最後の調整
(アジャストメント)になるかも知れませんので。
9月21日、そして10月4日、日本救済のへ向けて知的挑戦が始まろうとして
います。心ある皆様の積極的ご参加を期待しています。
2011.9.7 大脇 準一郎