「鳳仙花」は「てんさぐの花」(沖縄)です。
「てぃんさぐ」はホウセンカ(鳳仙花)のことで、沖縄県では古くからホウセンカの汁を爪に塗って染めるとマジムン(悪霊)除けの
効果があると信じられていた。1番から10番まであり、親や年長者の教えに従うことの重要性を説く教訓歌となっている。
沖縄は1972年5月15日にアメリカ合衆国の施政権下から日本へ返還され、日本の都道府県としての沖縄県が28年ぶりに
再置された。同日、「沖縄県民の歌」が沖縄県章と合わせて制定された。県では2012年3月18日、復帰40周年に圧倒的な
県民の支持を集めた「てぃんさぐぬ花」が県民愛唱歌」に指定された。
『てぃんさぐぬ花』 作詞・作曲 沖縄民謡 | 「てんさごの花」 日本語訳 |
(1) てぃんさぐぬ花や 爪先(チミサチ)に染(ス)みてぃ 親(ウヤ)ぬゆし事(グトゥ)や 肝(チム)に染(ス)みり (2) 天(ティン)ぬ群星(ムリブシ)や 読(ユ)みば読(ユ)まりゆい 親(ウヤ)ぬゆし言(グトゥ)や 読(ユ)みやならん (3) 夜(ユル)走(ハ)らす舟(フニ)や 子(ニ)ぬ方星(ファブシ)見当(ミア)てぃ 我(ワ)ん生(ナ)ちぇる親(ウヤ)や 我(ワ)んどぅ見当(ミア)てぃ (4) 宝玉(タカラダマ)やてぃん 磨(ミガ)かにば錆(サビ)す 朝夕(アサユ)肝(チム)磨(ミガ)ち 浮世(ウチユ)渡(ワタ)ら (5)誠(マクトゥ)する人(ヒトゥ)や 後(アトゥ)や何時(イチ)迄(マディ)ん 思事(ウムクトゥ)ん叶(カナ)てぃ 千代(チユ)ぬ栄(サカ)い (6)なしば何事(ナングトゥ)ん なゆる事(クトゥ)やしが なさぬ故(ユイ)からどぅ ならぬ定(サダ)み (7) 行(イ)ち足(タ)らん事(クトゥ)や 一人(チュイ)足(タ)れい足(ダ)れい 互(タゲ)に補(ウジナ)てぃどぅ 年(トゥシ)や寄(ユ)ゆる (8) あてぃん喜ぶな 失なてぃん泣くな 人のよしあしや 後ど知ゆる (9) 栄てぃゆく中に 慎しまななゆみ ゆかるほど稲や あぶし枕ぃ (10) 朝夕寄せ言や 他所の上も見ちょてぃ 老いのい言葉の 余りと思な |
(1) ホウセンカの花は (魔除けとして)爪先に染めなさい。 親の言うことは、 心に染めなさい。 (2) 天の群星は 数えようと思えば数えきれるけど、 親の言うことは、 数えられない。(それほど親の教えは限りがない) (3) 夜、沖に出る舟は 北極星が目当て、 私を産んでくれた親は 私が目当て。(私を見守っている) (4) 宝石も 磨かなくては錆びてしまう 朝晩心を磨いて、 世の中を生きていこう。 (5) 誠実に生きる人は 後はいついつまでも、 願いごともすべて叶い 永遠に栄えるのです。 (6) 成せば何事も 成ることであるが、 成さぬ故に 成らないのだ。 (7) 行き届かないことは(言っても足りないことは) 一人一人が足しあいなさい。(ひとりびとりで補いなさい) お互いに補い合ってこそ 年は取っていくものだ。(浮世を渡るものだ ) (8) いくら金や物があっても喜ぶな。 また、失ったからといって嘆き悲しむな。 人間の善し悪し、人の評価というものは 最後になってわかるものだ。 (9)栄えていくなかにも 謙虚でなくてはいけない。 稲も実るほどに あぜ道を枕にして、腰を低くするではないか。 (10) お年寄りの朝夕の教訓は、 世間の例を見て素直に耳を傾けるがよい。 老いの繰り言などと 思うのではない。 |
《解説》
『てぃんさぐ』とは、『ホウセンカ』のこと。『てぃんさぐぬ花』は、教訓歌!
下にユーチューブのリンクを貼っておきます。
◎ 『てぃんさぐぬ花』(知念梢&大城貴幸)
◎ 『てぃんさぐぬ花』(夏川りみ)
◎ 『Ms.Kohzuh(soprano)「てぃんさぐぬ花」 Arrange. by Henry Nagata』
※沖縄県出身のソプラノ歌手コーズーさんによる「てぃんさぐぬ花」です。
ちょっと違った雰囲気です。一度聴いてみるのも面白いと思いました。
【参考にさせて頂いた主なサイト】 (※さらに詳しくはこれらのサイトをご覧下さい。)
◎ 『摩耶』の「てぃんさぐぬ花」
◎ 『行きゅんにゃ加那』の「てぃんさぐぬ花」
◎ 『島唄まじめな研究』の「てんさごの花」
◎ 『うたまっぷ』の「てぃんさぐぬ花」(唄:夏川りみ)