韓国世界平和教授協議会 創立33周年記念に寄せて
                  
  孫 大日午 会長 様

  世界平和教授協議会創立33周年、
       慎んでお祝いの言葉を申し上げます。


 今朝、竹島問題のNHKニュースを聞きながら、書いています。顧みれば、世界平和教授ア
カデミーは、困難な韓・日関係の間に平和の橋をかけたことが歴史的功績の1つでありましょ
う。今日でこそ、韓日をつなぐ多くのパイプができていますが、70年代初頭は、ほとんどあり
ませんでした。欧米に何十回と行ったことのある:学者達もアカデミーを通じて初めて韓国を
訪問され、韓国に対するイメージを転換、韓国の無二の友人となったかたがたが数知れません
。先日訪米の折、偶然、ロックフェラーの生き様を聞く機会を得て、改めて富は保持すること
に意義があるのではなく、分配するためにあることを感動を持って聞きました。土地の領有も
太陽や空気や水のように人類的資産として共同所有とのコンセプトが重要であり、新しいビジ
ョンにより、不必要な紛争をさけられること、このようなビジョンを生み出すキーステーションと
してのアカデミーの役割は今後も非常に大きいと思います。

 アカデミーが創立された当初、我々は、韓国、日本、中国を中心に各国の危機の分析と解決
策(希望)を互いに模索しました。韓国や中国においては分断国家であること、日本では見え
ざる38度線、イデオロギー的戦争状態が当面の最大課題でありました。
 日本では、ばらばら状態で、反体制グループから個別攻撃を受けていた良識派の先生方が
アカデミーを拠点として結集し、日本を共産化の危機から守ることができたこと、これもアカデミー
の歴史的貢献の1つです。
 80年代末から90年代初頭にかけ、ベルリンの壁の崩壊、冷戦の終結、世界的共産主義・ソ連
帝国崩壊と続きましたが、いまだ共産主義イデオロギーはさまざまな形を変えて残存しています。
 米国は自由と民主主義を正義の旗を掲げて、イラク紛争を始め、世界各地で戦っていますが
、近代を導いて来たこの“自由”も共産主義が目指した“平等 ”と同じく、行き詰まりに陥って
います。“博愛”の理念も深刻な南北(貧富の格差)問題を解決できず、福祉国家の理想も
その影が問題となっています。

 アカデミーは発足当初以来、この文明史的危機の打開に、東洋的精神、文化的伝統が貢献し
えることを強調して参りました。西欧に花咲いた科学技術文明は、個人主義、自由主義、合理
的、経験主義的科学精神の土壌から生まれたものです。この個性を尊び、未来に挑戦する自由
闊達な西欧の精神に学ぶ必要があります。しかし、西欧文明のグローバリゼーションは、20世
紀初頭、いち早く、多くの文明批評家達が指摘したように、家庭、社会の解体、デ・ヒューマ
ニゼーション(非人間化)が進んでいます。さらに70年代初頭には地球的資源の有限性、環境
問題がクローズアップされ、いまや地球生態系崩壊の危機に直面しています。

 このような文明的危機を打開するためには、存在物を環境から切り放した個物として観る西
欧の思想よりは、むしろ環境との関連、連帯として見る東洋的思考が決定的に重要と考えます

 人間とは何か?西欧文明のグローバリゼーション下で、今、人口に膾炙されている単なる、
a man, a woman 、a human being の個体的側面よりは、読んで字のごとく、人間―人と人の
間、人の連帯的側面を重視すべきときです。
すべてを切る思想から、すべてを繋ぐ思想へ、東洋思想は、分断され個別化された今日の世界を
結び、人間の内面、究極存在とのつながり、自然とのつながりをも回復しようとするものです。
今こそ私自身の、人間観の根本的意識革命が必須です。
 
 今わが国では、国の誇り、国家の品格が話題となっています。
過去や現状に逃避するのではなく、しっかりと東洋的伝統にのっとり、西欧文明を救い、新しい
世界文明創造に貢献する未来に挑戦して行くことこそ、わが国の、そしてアジア諸国のこれから
の目標ではないでしょうか?

 33年前、アカデミーをリードした方々の多くは鬼門に入られました。
33回忌とは仏事で重要な儀式であり、基督教においてはイエスの十字架の死と復活を意味
する重要な数字です。
 先人の遺徳を偲び、今回の記念式典を通じて、起死回生、アカデミーが人類史に燦然と輝く
平和の灯火を掲げ偉大な行進を継続されるよう祈念してやみません。

 終わりに韓国に遅れて翌年発足した日本世界平和教授アカデミーの創立趣旨文、1976年2月、
産学協同で創設した「新しい文明を語る会」の創設趣旨文を添付させていただきます。
 ご笑納賜れば光栄です。
               2006年4月20日       大脇準一郎 拝

        

*追伸:小生、90年代後半の南米での奉仕活動の傍ら、2001年、日本の同志と未来構想戦略
 フ ォーラム(NPO法人)
を創設しました。インタネット、ブロードバンドの最新技術、無償で放映
 していますのでご笑覧ください。特に西原春夫氏(アジア平和貢献センター理事長、元早稲田
 大学総長)第35回:12月14日「アジア・世界へ向けて日本の平和構想を語るー」、
 第40回「21世紀日本の平和構想」─積極的平和国家戦略の展開を─」2005年6月30日をご覧
 ください。記録は未来構想のホームページにリンクしていますがその一部を添付しておきます。

*志と献身的行動だけで、多くの賛同者を得られたてことは、小生にとっても新しい発見でした。
  本会の動きに賛同的な企業オーナーの1人、K会長(在日僑胞)は水産、倉庫業をベースに大型
 マンション、6つのゴルフ場を経営するオーナーです。今度6月3日から12日、ウクライナ大使に
 なられた未来構想の同志訪問旅行の案内役を依頼され、同行予定です。帰路韓国で、お会い
 できる機会がありましたら幸いです。          以 上