に対するコメント
The 26th International Symposium on Unification Thought
“Problems in the Current Civilizations and a Vision for a
Peaceful World”
Isshin Educational Center, Chiba, Japan
January 29 - 31, 2016 PROGRAM 大脇 準一郎
この論文は、「北東アジアの平和に貢献する」ことを願って、朴槿恵朴大統領
が就任間もない2013年5月8日、米国上下院合同演説で発表した「DMZ世界平和公
園構想」を考察したものである。「DMZ世界平和公園構想」がどのような経緯を
経て、朴政権が発表されるようになったのか、現状と今後どう取り組もうとどう
取り組もうとしているのか小生も知りたいところである。 小生の知る範囲で申
せば、DMZ平和ゾーン構想は、2000年8月18日、ニューヨークの国連本部第二会議
場で開催された世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)主催の「アセンブリ
2000」(以下、A2000と略称)の開会総会で、同連合創設者である文鮮明師によ
り提案されている。(注1) 以下これを参考に鄭氏の4つの提言に沿って鄭氏
のコメントをし、最後に5番目として小生の総合的所見を述べたい。
まず第1に、鄭氏は、世界平和公園構想を実現するには、韓半島を取り巻く4大
強国との調整と共に、北朝鮮を対話の場へ引き出し、信頼のプロセズ作りをする
ことが何よりも大切である。そのためには、セマウル運動のような公的開発援助
(ODA)をすることを提言している。これは、一般的に妥当な政策として信じら
れている。小生はこれに加え、文鮮明先生の平和へのアプローチに注目をするこ
とを提案したい。
文先生は、4大強国の利害が衝突する接点にある朝鮮半島は、強大国との関係
を円滑にしながら、世界平和を発展させるベアリングになるべきこと、そのため
には、人種、国境、宗教を超えて、1つになる平和思想を持つ必要性を強調され
ている。(注2)
1991年11月、世界を驚かせた文先生の北朝鮮訪問、金日成、金正一首相の死後
も、北朝鮮に対する統一グループの開発援助は継続され、北との信頼の絆は続い
ていることはご存知の通りである。水面下でもこの民間外交ルートの信頼関係を
生かすことにもっと注目すべきではなかろうか?
鄭氏は世界平和公園構想を実現する第2の提言として、ニューヨーク、ジュネー
ブ、ウイーン、ナイロビに次いで第5の事務局を韓半島のDMZ内に設置すること
を提案している。「世界75億人の人口の60%(45億人)を占める」アジア
に国連事務局を置くことは至極妥当な提案である。また、世界の紛争解決と低開
発国の発展のための設置という提言も説得力がある。
ヨーロッパで誕生した国際連盟、北米に誕生した国際連合、A. トインビーが
指摘をしているように「いずれも人民に直結した国際機関ではない。」 戦後体
制、連合国側に偏した国際機関に代わり、新しい世界秩序を反映した第3の国際
機関の必要性が叫ばれて来た。一例を挙げれば、文鮮明師は, 1960年代当初
から東北アジア(旧満州)に第2国連構想(世界平和聨合)を唱導され、統一運
動のゴールを示していらっしゃる。A2000において、文先生は、そのための準備
段階としての当面の国連の刷新案として新たに宗教国連の設置、すなわち、各国
家の利益を代弁する既存の国連を下院とし、新たに精神世界の指導者たちによっ
て構成される宗教議会を上院とする二院制を提案されている。
文先生の提言のような、長期的ビジョンと、中期的段階的な改革をベースにし
て、国連を活用する鄭氏の第2の提案を支援したいと思う。
鄭氏は第3の提案として世界平和公園構想の生態的価値に注目しながら、世界
平和公園造成の具体策としてDMZ地域開発3段階戦略を提言している。すなわ
ち、それは、ビジネス的手法により、観光資源を活用し、地域産業の新興するこ
とを推奨している。
これはA2000で文先生が提唱した提言、「紛争地帯を平和地区に、38度線地帯
を平和ゾーンに」を敷衍したものである。このなかで文先生が提唱されている平
和基金構想は世界平和公園プロジェクトを推進するイニシアルコストとして強力
なバックアップになるであろう。鄭氏や提案する従来の開発手法に、これを補完
することによってこのプロジェクト成功に弾みがつくことが大いに期待される。
鄭氏はこのプロジェクトを実現するため第4の提言としてコントロール・タワー
の設置を訴えている。任期満了まで後2年迫った朴大統領は、政権の歴史的成果
を残すためにも、この世界平和公園構想に全力投入することが期待したい。国連
のリーダーシップの下(注3)、文先生の提案のように、世界の宗教人を始めと
する指導者層、民間人がこのプロジェクトに積極的に支援し、一日も早く「世界
唯一の分断国家」の悲劇を終焉させる秋である。
北東アジアの平和に貢献するいろいろな試みがこれまで行われている。(注4)
時間の関係上、創設に直接わって来たPWPA、ICUSの使命につき所見を
述べたいと思う。
世界平和教授協議会は文先生の提唱により、北東アジア3国で始まった。その
目指すところは、西欧の物質偏重の科学技術近代文明の行き気づまりを打開
し、北東アジア3国に残る伝統的な精神文化を再評価して、東洋と西欧が共に手
を携え、21世紀の新文明を築こうと言うものである。1972年ニューヨークから発
足したICUSは、西欧から「科学と価値」をテーマに、他方1973年ソウルから
発足したPWPAは東洋の側から平和をテーマに探求して来た。「何のための科
学か?」価値の探求する時、絶対価値を問題とせざるを得ない。また、「平和の
探求」も「如何に心身の統一を図ることができるか」に帰結し、それを為し得る
のは知識やお金でも無く、愛であるという結論に到達する。 西欧であろうと東
洋からのであろうと結局は神様の愛と出会うことになる。文先生は、学者に支援
を惜しむことなく継続し、10年目にその結論を私見として開陳された。(注5)
神の愛を中心としてこそ、東西が出会い、世界の平和統一が為されることをあ
らかじめご存知であった文先生の、生前の壮大なビジョン、その周到な計画、忍
耐、ご努力に改めて敬意を表したい。日韓は目先のことで言い争っている時でな
い。この文先生の唱導された壮大な夢の実現に向け、共に手を携え、世界平和
実現へ向け、邁進すべき時であると思う。(注6)
「教授たちを如何に命への道へ導くか、その道を短縮しなければならない」と
真剣な面持ちで語り語りかけられたことを忘れることができない。生前文先生が
強調されたように知識の限界とその役割を知り、学者のとしての本分を果たそう
ではありませんか!
各位の一層の奮起とご活躍を祈念し、このコメントを終わりたいと思う。(注7)
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(注1):その中で文師は3つの提言をしている。
「国連の刷新と「平和の文化」建設」2000.8.18, N.Y国連本部第二会議場、
世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)主催の「アセンブリ2000」開会総会、
基調講演、3つの提言の要旨。
1)宗教協議会の設置 2)、 平和地区の設置 3)父母の日、家庭の日の設置
全文はこちら ⇒
(注補1:この平和ソーン設置の提言は1982年11月ソウルでの第10回ICU
Sで提唱された国際ハイウエイ構想に源流がある。また2005年1月、「日韓文化
交流会議」に韓国側団長として来日された金容雲博士は、38度線の非軍事化の構
想を熱い思いを込めて語られた。)
(注補2:第3の提言、真の父母の日、真の家庭の日の提案は、2012年9月17日、
国連で毎年6月1日を「世界父母の日」とすることが採択され、2013年より実施さ
れている。
(注2)「平和を愛する世界人として」創芸社2009.10.2、P304
(注3)Robert Muller氏は国連事務総局次長として3代の国連事務総長に仕え、
85の国連機関を設置、「国連の哲学者、Mr. UN」と呼ばれた。
(注4)北東アジアの平和構想
(1)高句麗古墳のユネスコ世界遺産の登録
北朝鮮は、2000年頃から画家の平山郁夫の支援で、遺跡の世界遺産登録を働きか
けていた。当初、2003年には登録される見込みであったが、中国が北朝鮮の単独
登録に反対。吉林省にある高句麗遺跡の登録申請を行った。その経緯で、両遺跡
が2004年の同時登録という形になった。北朝鮮と中国の間に、高句麗地区の領土
問題が存在することが改めて認知された。
https://www.youtube.com/watch?v=GnAf5B8dum4&feature=player_embedded
(2)韓国、北朝鮮、日本3国を非核ゾーンとし、世界平和のリーダーシップを!
「核保有を宣言した国で、核を放棄した国はありません。日本、韓国が米国「核
の傘」の中にいる以上、北朝鮮が世界で初めて核を放棄するには、日本・韓国と
ともに人類の歴史に対して責任を果たすという、シナリオが必要です。 核大国で
ある中国、露国、米国も、国内に大きな問題を抱えています。国内の対立が臨界
点を超えれば、核は最も危険な存在になります。この危険性を回 避するためにも、
朝鮮半島と日本列島の非核化は、核大国、保有国に、比類なき影響を与え、紛争
地帯に希望と勇気を提供できるはずです。これをもとに平和構築のノウハウを確立
することができれば、環日本海圏は、世界から最も期待される地域になるはずです。
これこそが戦後、繁栄を享受してきた日本と韓国の果たすべき役割ではないでしょ
うか。」 小松昭夫(小松電機産業株式会社 社長 /財団法人人間自然科学研究所理事長)
3)国際ハイウエイ・日韓トンネルプロジェクト
4)アジア平和貢献センター
5)東アジア共同体の試み
(注5):☆PWPA創立10周年記念、第1回世界平和教授協議会世界大会、
1983.12.18 Seoul)ここで文先生は、絶対平和は神の愛を中心としてこそなさ
れることと、今後10年間の平和事業プロジェクトを紹介された。
骨子:絶対的価値基準の確立の必要性
(1)PWPA:「平和」→真の愛=絶対的価値
(2)ICUS:学問: 没価値的な方法論と研究結果→策略家が利用→人類の危機
絶対的価値⇒諸価値の基準⇒全ての学問の基準
人類の本性が願う共同理想を実現する基準、×自由主義
記念講演の全文⇒l
☆第10回ICUS 1982.11, Seoul
ここで文先生は絶対的価値としての神の愛を紹介されると共に、具体的提案
として国際ハイウエイ、日韓トンネルプロジェクトを提唱。「何のなんのための
科学か?」を追求して来たICUSにとって、「世界平和実現のための科学」の
面目を施した歴史的提言であった。基調講演、全文はこちら⇒
(注6)「北東アジアの平和と安定」 Eng
May 26-28, 2005 in Moscow, 2005 Moscow, Russia,
International Conference on Innovative Approaches;
To Peace and Stability in Northeast Asia
(注7)The 26th International Symposium on Unification Thought
“Problems in the Current Civilizations and a Vision for a Peaceful World”
Isshin Educational Center, Chiba, Japan
January 29 - 31, 2016 PROGRAM
“A Study on the Korean DMZ World Peace Park”
Dr. Si-Gu Jeong (Professor, Sun Moon University, Korea)
Comment: Dr. Jun-ichiro Owaki ( Representave, NPO Citizens’ UN, Japan)
A Study on DMZ World Peace Park in the Korean Peninsula PDF英文
Jeong Si Gu (Sun Moon University, Korea)
「韓国DMZ世界平和公園に関する考察 」 PDF 和文
鄭 時 九 (Sun Moon University, Korea)
「DMZ平和公園構想の意義と南北統一に対する展望」
金炯錫・元韓国統一省次官講演 日韓国際ウェビナー2.26_2022
超宗教平和協議会 国連に超宗教議会創設を!
国連を生かす外交を!